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第二十三話 お父様の言葉

「今日は、結構長く話せそうだ」


 お父様は微笑みながらそう言う。


 小康状態とは言っても、あまり長く話すと疲れてしまうだろう。


「無理はなさらないでください」


 とわたしが言うと、


「大丈夫だ。お前とは話せる時に話をしておきたい」


 とお父様は言う。


 そして、


「今お前は、多分、殿下との仲はそれほどまだよくないと思う。王室の方々もお前に好意を持っている方々は少ないだろう。お前が殿下のところ行って、ここに戻って来る度に、少しつらそうな表情をしていたので、そう思っている」


 と言った。


 わたしはお父様の前では、自分の苦しさ、つらさを出さないようにしていたのだが、お父様はそれを理解してくれていたようだ。


 ありがたいことだと思う。


「ご心配をおかけして申し訳ありません」


「謝らなければならないのは、わたしの方だ。わたしは、そうなる可能性が強くなるかもしれないと思ったのに、お前を婚約者候補にした。それで、お前はつらくて苦しい思いをしていると思う。申し訳ない」


 お父様はそう言うと、涙を流し始めた。


「いいえ、わたしは大丈夫です。冷たい仕打ちをされれば、つらいとか苦しいとか、そういうことは思うこともありますし、腹が立ってくることもあります。でもそれは我慢しています。これから王妃になる人間が、感情に左右されてはいけないと思っています。まだ殿下とも王室の方々とも、心から打ち解け合えるところまでは行っていませんが、いずれそうなれると思っていますし、その為に努力を毎日しています」


 わたしは、なんとかお父様を安心させてあげたい。


 お父様は、


「よく我慢してくれている」


 と言った後、しばらくの間泣いていた。


 やがて、お父様は涙を拭くと、


「まだまだ冷たい仕打ちを受けることもあると思う。そうした時、人というのは、ついつい相手に腹を立ててしまうものだ。でもそういうことをすると、ますます仲は悪くなるし、評判も悪くなる」


 と言った。


「お父様のおっしゃる通りだと思います」


「我慢することは大切だ。しかし、我慢するだけでなくて、それに対して平然とした態度をとり、高貴さを維持することも必要だ。我慢しているだけだと、言われるままになってしまう可能性がある。平然として高貴さを持ち続けるほどの大きい気持ちになることが大切だ。ただ高貴さと高慢さは違う。高慢になってはいけない。そして、お前の持っているやさしい心で皆様を包んであげていく。そうすれば、凍っていた人たちの心も溶けていくと思う。理想論を言っているとは思う。難しいところもあると思う。でもこれが一番いい方法ではないか、と思っている。理解をしてくれるとありがたい」


「理解はできます。平然とすることは今までできませんでしたし、高貴さも維持できないところがあったので、心がけていきたいです。そして、わたしも、やさしい気持ちで、皆様に接しているつもりです。しかし、なかなか皆様の方には通じていかないようです。少し悲しくなることもありますし、この冷たい態度は、わたしが努力してもずっと変わらないのではないか、というあきらめの気持ちも少しあります」


「そこで挫折をしたり、あきらめの気持ちを持ったりしてはいけない。もともと好意を持っていない人たちに、自分のやさしい気持ちが伝わっていくのには、一年以上の長い年月が必要だと思う。もちろんその時間は短くなればなるほどいいのだが、とにかく時間が必要だ。短い時間でできると思わない方がいい。とにかく大きい気持ちを持っていくこと。それが大切だと思う」


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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