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第十三話 まもなく家から追放されるわたし

 わたしは殿下のところから帰った後、自分の部屋に閉じ込められた。


 もう三日ほどが経つ。


 その間、食事は一日一食。それも粗末なパンと牛乳のみ。


 服も粗末なものに着替えさせられた。


 外に出られるのは、一日一回のお風呂とトイレの時だけ。


 それもわずかな時間でしかない。


「わたしは他のもっと粗末な部屋に押し込めるつもりだったのだけど、殿下はとてもやさしいから、『リンデフィーヌの部屋で閉じ込めればよい』とおっしゃったの。そして、お風呂に入ることも許してあげていただいたのよ。あれだけ殿下に歯向かっていながら、こんなやさしい心づかいをいただけるなんて……。ありがたいと思いなさい。わたしだったらもっと酷い扱いをしてやるのに」


 継母は、わたしをここに閉じ込める時、そう言った。


 部屋に閉じ込めること自体が酷いことだとなぜ思わないのだろう。


 満足な食事も与えられず、お風呂とトイレ以外、外に出ることができないということがどれだけ苦痛なことか、わからないのだろうか。


 しかも、わたしは、殿下に「歯向かった」という理由でこの扱いを受けている。


「歯向かった」というわけではないのに……。


 殿下の浮気や婚約破棄に反論することが、なぜ「歯向かった」ことになるのか、納得ができないままだし、悲しみは深まっていく一方だ。


 わたしはここに閉じ込められてからしばらくの間は、ずっと泣いていた。


 その内、泣く気力もなくなっていった。


 食べるものも少ないので、気力を立て直そうにも無理な話だ。


 ベッドでぐったりしていることしかできない。


 疲れ切っているわたし。


 しかし、こうしてこの部屋にいられるのは今日まで。


 わたしは、いよいよブルトソルボン公爵家を追放される。


 殿下の命令だ。


 このまま閉じ込められていてもつらいだけなので、追放されるにせよ外に出ることができること自体は、今の状態よりましなことだと思う。


 しかし、受け入れ先がない。


 それどころか、公爵領、そしてこの王国内にとどまることは難しい。


 継母は、


「三日間、追放しないのは、その間にあなたに身の振り方を決めさせる為なのよ。これも殿下のやさしさなのよ」


 と意地悪く笑いながら言っていた。


 慈悲と言えるのだろうか?


 こちらは心に大きな打撃を受けている。


 普通の状態でも、たった三日で身の振り方を決めるのは至難の業だ。


 しかも今までは貴族だったのに、これからは一平民としての人生になっていく。


 とにかくどこかで職を得るしかないのだけど、そんなことがわたしに出来るのだろうか?


 昨日の昼すぎから、これからのことを少しずつであるが、検討し始めていた。


 とはいっても、その気力もなかなか出てこない。


 それでもわたしは、ある程度の方向性は決めなければならなかった。


 気力がでないまま、検討をするのはつらいものがあった。


 なんとか今日の朝までに決めたのは、


「とにかく隣の王国の王都に行き、そこで職を探す」


 ということだった。


 公爵領にいるのも、この王国にいるのも難しいので、隣の王国に行くしかない。


 その王都には一度も行ったことはないが、行けば何らかの職はあると思う。


 それに期待するしかない。


 最初は失敗が多いかもしれない。


 それでつらい思いをするかもしれないけど、ここで今まで受けていた継母や異母姉の冷たい仕打ちに耐えてきたわたしだ。


 耐えていけることを信じていくしかない。


 わたしはそう思うのだった。


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