第百二十七話 国王陛下の厳しい言葉 (異母姉サイド)
わたしは国王陛下から、緊急の呼び出しを受けた。
まだその時は、王宮での出来事を知らなかった。
国王陛下の側近がわたしのところへやってきて、
「民衆や貴族が王宮に押しかけてきたのです。国王陛下は、貴族たちとは協定を結び、民衆の要求も聞き入れることにしました。彼らは王宮を去っていき、事態は落ち着いてきたので、今後のことの協議をしたいと国王陛下はおっしゃられました。それで、ルアンチーヌ様を国王陛下のところに招くことになったのです」
と告げた。
驚くしかなかった。
国王陛下がわたしを直接招くというのは、よほど大切な相談なのに違いない。
貴族と協定を結んだということは、王太子を変更するということが当然のことながら含まれているに違いない。
そうすれば、もうわたしは婚約を破棄されて、公爵家に戻るしかない。
いや、それは避けたい。
わたしは殿下の婚約者で、王妃となっていく高貴な女性なのだ!
殿下には王太子のままでいていただくよう、一生懸命お願いしよう!
そう思うのだが、気持ちはなかなか高揚してこない。
国王陛下の慈悲にすがるしかないのだけど、哀願したとしても多分聞いてくれそうもない気がする。
王宮に向かう馬車で、わたしは心が落ち込んでいった。
そして、まだ今日の騒ぎの余韻の残る中、王宮に入った後、国王陛下の執務室に入っていたのだけど……。
執務室には、殿下と殿下の母と妹、そしてゼリドマドロンとわたしの五人が集められていた。
国王陛下の命令は厳しかった。
「それではお前に申し渡すことにする。王太子マイセディナンは、民衆に圧制を行い、貴族たちにも恣意的な領地の加減を行った。これは、王太子としてとてもふさわしくない行為である。このまま王太子にしておくことは難しいと判断したので、その位をブランザフィス公爵家トラヴィスナンに譲るものとする」
殿下は修道院行きとなってしまった。
王太子変更のことは、受け入れたくはなかったが、予想はしていたことだった。
しかし、修道院送りになることは予想していなかった。
これは、わたしたちに大きな打撃を与えるものだった。
王室にこのままとどまるのであれば、王太子に復活する可能性は残っていなくはないと思っている。
しかし、修道院に行ってしまえば、復活する可能性はほとんどなくなってしまう。
いや、それ以前に、王太子変更について、このまま黙っているわけにはいかない。
わたしは、
「どうか、王太子の地位をそのままにしてください!」
と他の人たちと一緒に懇願し続けた。
しかし、国王陛下は耳をかすことはなかった。
国王陛下はその後、次々に命令をしていく。
殿下の母と妹は、政治への介入の禁止。
殿下と自分たちへの厳しい命令が重なって、二人は悲しみに包まれていた。
わたしに酷いことをするからいけないのだ!
わたしは喜びが湧いてきていた。
しかし、それは一瞬のことでしかなかった……。
「さて、次にルアンチーヌよ。お前はマイセディナンが修道院送りになるので、婚約は破棄されることになる」
「婚約破棄……」
信じられなかった。
いや、信じたくはなかった。
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