第百十四話 殿下との仲を深めていく
わたしも婚約したからには、すぐに結婚式をしたいという気持ちはあった。
しかし、結婚となると、結婚式自体にもいろいろ準備が必要だし、結婚そのものの準備をしなければならない。
今でも忙しい殿下が、ますます忙しくなったら、それどころではなくなるのも当然だと思う。
「ご迷惑だなんて……。大切なことだと思いますので、お気になさらずに」
わたしがそう言うと、殿下は頭を上げた。
「そうおっしゃっていただけるとありがたいです。来年の一月頃からは、その状況も落ち着いてくると思います。今のところ、結婚式は来年の五月頃になると思っています」
「来年の五月ですね。楽しみです。でも無理はなさらないでください」
前世での殿下は、体が丈夫ではなく、短い生涯だった。
今世は体が丈夫だとはいっても、無理をしては健康を害してしまう。
今世では二人一緒に健康で長生きをしていきたい。
「わたしは今のところ健康については大丈夫です。でも、前世での経験がありますので、無理はしないようにします」
殿下はそう言って微笑んだ。
「今世は今のところ健康に恵まれていてよかったと思います。わたしも今世では健康には恵まれていると思っていますので、これから殿下のそばでずっとずっと尽くすことができると思っています」
「リンデフィーヌさんこそ、健康には気をつけてください。お互い、健康で幸せになっていくことを願っています」
「ありがとうございます」
わたしがそう言うと、殿下は、
「もう一つ話をさせてください」
と言った。
「なんでございましょうか?」
「お二人に婚約を認めていただきました。あなたはわたしの正式な婚約者になりましたので、これからは、内政についての助言も正式にしていただきたいと思います。その点についても、よろしくお願いします」
内政の助言をすることによって、王国の為に働いて行く。
とても大切なことだ。
「殿下のお役に立てることであれば、力を尽くしていきたいと思います」
「そう言っていただいて、ありがたいです。そして、うれしいです」
「わたしの方こそ、殿下のお役に立つ機会を作っていただき、うれしいと思っていますし、ありがたいと思っています」
殿下は、わたしがそう言った後、
「後、これから毎日、わたしの寝室にご招待しようと思っています。婚約者どうしになったことですし、もっと仲を深めていきたいと思っています」
と恥ずかしそうに言った。
「寝室への招待」
「仲を深めていく」
それは、殿下とベッドの上で肩を寄せ合い、おしゃべりを楽しむことにより、仲を深めていくという意味はもちろんある。
しかし、それだけではない。
わたしたちは、二人の世界に入っていく。
そうすることによって、わたしたちはより一層仲を深めていく。
お互いの愛をもっと強くしていくのだ。
わたしはそう思っている内に、恥ずかしさが増してきた。
その恥ずかしさを抑えながら、
「わたしでよろしければ、よろしくお願いします」
と殿下に応えた。
これから毎日、殿下の寝室へ行く。
恥ずかしい気持ちはこれからも続いていくと思う。
でもとても幸せなことだ。
「ありがとうございます」
殿下はそう言って頭を下げる。
そして、頭を上げると、
「もしかすると、夜遅くの招待になってしまう日が多くなってしまうかもしれません。その点については申し訳ないと思っています。しかし、夜遅くなっても、毎日あなたと寝室で一緒にすごしたいと思っています。この想いが伝わるとありがたいです」
と続けて言い、その後再び頭を下げた。
殿下の想いが伝わってくる。
「面白い」
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