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第百十二話 二人だけの世界

 わたしは殿下の愛に応えなければならないと思った。


 いや、それだけではない。


 わたしも殿下のことを前世から愛し続け、そして思い出せないとしてもそれ以前から愛していると思っている。


 二人だけの世界に入ることによって、殿下のわたしへの愛を受け入れていく。


 そして、わたしの方からは、殿下への愛を伝えていく。


 わたしはもう心を動かさないと決めた。


 殿下への愛。


 それこそが一番大切なこと。


 わたしは、


「わたしも殿下の愛を受け止めたいと思います。そして、殿下にもわたしの愛も伝えたいと思います。前世でもすでしたが、わたしは殿下なしでは生きていけません。それほど好きなのです。よろしくお願いします」


 と心が沸き立ちしながらも、頭を下げてそう言った。


 殿下はわたしの手を握り、


「リンデフィーヌさん。ありがとうございます。これからあなたをもっともっと愛していきたいと思います。前世でできなかった分まで、愛して愛して愛し続け、あなたに尽くしていきたいと思っています。好きです。大好きです」


 とやさしく言う。


 殿下の想いがわたしの中に奔流のように流れ込んできた。


 わたしの心は沸騰し始める。


「わたしは前世で殿下にほとんど何もすることができませんでした。そして、今世でもまだ何もできていません。生命の危機の時に救けていただいたというのに、申し訳ない気持ちいっぱいです。これからは、今までほとんど何もできなかった分、殿下のことを愛し続け。殿下に尽くしていきたいと思っています。一緒に幸せになりたいです」


「リンデフィーヌさん。あなたは前世でもわたしを愛していただきました。それが、どれだけ力になったことでしょう。わたしには、あなたのいない人生などありえないと思っています。あなたがいるからこそ、わたしは生きる力が湧いてくるのです。今世ではお互い体も元気なようですし、これからずっと一緒に生きていけると思っています。もうわたしは既に、こうしてあなたと出会えただけで、以前よりもはるかに力が湧いてきている気がしているのです」


「殿下……」


「リンデフィーヌさん、大好きです」


 殿下はそう言うと、わたしを抱きしめる。


 やさしい殿下の体。


「リンデフィーヌさん……」


 殿下は唇を近づけてくる。


 わたしも唇を近づける。


「リンデフィーヌさん、愛してます。前世で結婚できなかったわたしたちですが、今世では結婚して幸せになっていきましょう、これからもずっと、あなたのことが大好きです。愛していきます」


「わたしも殿下と結婚して一緒に幸せになりたいと思います。わたしも殿下のことが大好きです。殿下のことをこれからも愛していきます」


 重なり合う二人の唇と唇。


 婚約が成立してから初めてのキス。


 そう思うだけでも、心が高揚してくる。


 殿下、殿下、愛しくて愛しくてたまりません。


 ああ、なんて素敵な方なのでしょう……。


 わたしの心は沸騰寸前になっていた。


 やがて、わたしたちは唇を離す。


 少し名残惜しい気持ちになる。


 もっとキスをしていたい。


 すぐにでもまた唇を重ね合わせたい。


 そう思っていると、殿下は、


「リンデフィーヌさん、それではこれから、二人だけの世界に入っていきます。よろしいですね」


 と恥ずかしそうにそう言った。


 わたしの方も、恥ずかしい気持ちはどうしてもある。


 しかし、わたしは殿下の愛を受け入れると決めた。


 受け入れると決めた以上は、殿下に尽くしていく。


 わたしは、


「よろしくお願いします」


 と殿下に応えた。


「ありがとうございます」


 そう言うと、殿下は、再び唇を近づけていく。


 またキスができて、うれしい。


 唇と唇を重ね合わせた後、殿下とわたしはベッドに横たわっていく。


 前世では体が弱かったので、入ることができなかった二人だけの世界。


 あこがれていた世界。


 とはいいつつも、心の準備がなかなかできなかった世界。


 いよいよそこに入っていく。


 まだ恥ずかしい気持ちはあるけれど、殿下と一緒に入っていけるうれしさで、それを乗り越えようとしていた。


「リンデフィーヌさん、わたしのこの愛をあなたに捧げます。わたしのすべてをささげていきます。大好きです。リンデフィーヌさん」


 涙声の殿下。


「わたしも殿下の愛を受け入れます。わたしを殿下にささげます。殿下、大好きです」


 わたしの目から涙があふれてきた。


 うれしい気持ちでいっぱいになってくる。


「リンデフィーヌさん……」


「殿下……」


 わたしたちは唇と唇を重ね合わせる。


 ああ、殿下、ありがとうございます。


 心がとろけてきます。


 わたしはとても幸せです。


 そして、わたしたちは、二人だけの世界に入っていった。


「面白い」


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