第百十一話 来世でも来々世でも愛し続ける
「あなたのことはいくら褒めても褒めすぎることはありません。それほど素敵な女性だと思っているのです」
「わたしこそ殿下のことが素敵な男性だと思っています」
「そしてあなたは、お二人の前で、わたしのことを『一生愛していくことを誓います』とおっしゃっていただきました。このことはわたしにとって、今までで一番うれしいことでした」
殿下は恥ずかしがりながらそう言った。
「わたしの方こそ、『一生愛していくことを誓います』とおっしゃっていただきまして、とてもうれしかったです」
わたしは恥ずかしさを抑えて、なんとかそう言うと、殿下は、
「リンデフィーヌさん、これからわたしはあなたに大切な話をします」
と少し違う調子で、わたしに呼びかける。
「殿下……」
いよいよだろうか?
緊張、そして期待。
そろそろ胸のドキドキにも限界がきそうだった。
「わたしはあなたのことが好きで好きでたまりません。大好きです。あなたのことを愛しています。しかも、それは今世だけではありません。前世からずっとです。前世だけではない。思い出すことはできていませんが、前々世やそれ以前から、わたしはあなたのことを愛していたのだと思います。そして、これからの来世、そして、来々世以降もあなたのことを愛していきます」
「殿下、わたしも思い出すことはできていませんが、前世はもちろんのこと、前々世以前から、わたしも殿下のことを、ずっと愛し続けていたと思っています。そして、わたしも、殿下のことを来世以降も愛し続けたいと思っています」
わたしは恥ずかしい気持ちを抑えるのに一生懸命だった。
しかし、もう難しいところまできている。
それでも殿下の気持ちに応えようとしていた。
「リンデフィーヌさん、ありがとうございます」
殿下はそう言った後、一旦気持ちを整える。
そして、殿下は、
「わたしはあなたのことが大好きです。この想いは心の底からあふれてきています。わたしはこれから、あなたと二人だけの世界に入りたいと思っています」
と恥ずかしさを抑えて言った。
「二人だけの世界」
殿下とわたしの愛の究極的な形。
そういう言葉を言われることを予想はしていたし、心の準備はしてきたつもりだった。
しかし……。
その言葉は想像以上に、心を沸き立たせるものだった。
殿下は話を続ける。
「わたしたちは今世でも婚約をすることができました。それはもちろんうれしいことですが、わたしとしては、さらに一歩、前に進んで行きたいと思っています。この想いを受け止めていただけると、とてもうれしいです。もちろん、あなたの方にも心の準備がいると思います。もし今日が無理なら、もっと愛を育んでいき、心の準備ができてからでもかまわないと思っています」
「殿下……」
殿下の思いやりはありがたい。
わたしの心の準備がそこまでできていない場合のことも想定していただいている。
しかし、そこまで殿下に気をつかわせてはいけない。
殿下は、前世からわたしのことを愛し続けている。
思い出せないにしても、それ以前からわたしを愛してくれている。
その気持ちに応えなければならないと思う。
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