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第十一話 追放を命じられるわたし

「このものはわたしに無礼を働いた。よって、ブルトソルボン公爵家からこのものを追放することを命じる」


 と言った。


 追放。


 つらい言葉だ。


 ここまで殿下の言うことに従ってこなかったのだから、言われる可能性はあるとは思っていたけれど……。


 こうして言われると、想像以上に重い。


 残っていた気力もなくなっていく。


 わたしが呆然としていると、殿下は側近二人を呼び、


「わたしはやさしいから、この女性を一旦公爵家まで送り届けた後で、公爵家を追放することにする。この女性を、公爵家の屋敷まで送ってやれ!」


 と命令した。


 何を言っているのだろう。


 自分でやさしいと言っているのなら、追放という言葉自体が出てこないと思う。


「殿下、あんまりなお言葉。婚約者として、殿下の為にこれからも尽くそうと思っていましたのに……」

 わたしは弱々しく言うのがやっとだった。


 側近の一人は、


「さあ、参りましょう」


 と冷たくわたしに言う。


 涙があふれてきた。


 殿下と継母、そして異母姉の三人は、そんなわたしをあざけり笑う。


「殿下、どうしてそこまでわたしのことを笑うことができるのでしょうか? 婚約破棄だけではなく、追放までされるというのに……。あまりにも酷い仕打ちだと思います」


 弱々しい涙声でわたしが言うと、


「わたしはお前が嫌いなのだ。嫌いなのに、お前はわたしに歯向かった。それがいかに腹の立つことか、お前にはわかるまい。そんなお前が悲しくて泣いているのだ。うれしくて、笑顔になるのはあたり前だろう?」


 と殿下は笑いながら言う。


 そして、


「なあ、お前たちもわたしと同じ気持ちだろう?」


 と殿下は二人の方を向いて、同意を求める。


「わたしたちもこの人が嫌いです。わたしの方が、はるかに魅力があるのに、この人が殿下の婚約者になっていたので、腹が立ってしょうがありませんでした。それが、こうして婚約を破棄され、追放までされるのですから、うれしくてしょうがありません。お母様もそうだと思います」


「わたしもルアンチーヌと同じで、うれしくてしょうがありません」


「皆同じ意見で、うれしくて笑っているのだ。お前にも笑ってほしいものだ」


「笑うことなどできるはずがありません」


「笑うのだ。これは命令だ。わたしの言うことに従うんだ」


 殿下は酷いことを言ってくる。


「笑うのは無理です」


 笑うどころか、悲しくて涙がますます流れてくる。


「そうか、無理か」


 殿下はそう言うと、厳しい表情になり、


「わたしの命令をここまで聞けないとはな。腹が立ってしょうがない。もういい加減この部屋から立ち去れ!」


 と強い口調で言った。


 しかし、わたしはもう歩く気力さえもなくなってきている。


 わたしが動けないままでいると、


「立ち去れと言っているのに立ち去らない。どこまでわたしに歯向かうのだ。お前が動かないのなら、動かすまでだ。お前たち、こいつが動かなければ部屋から追い出せ!」


 と殿下は、側近たちに指示をする。


「殿下のご命令です。自分から部屋を出ないと、我々が無理やり部屋の外に出すことになります。よろしいですか?」


 側近の一人が言う。


「そう言われても体が動かないのです。気力がなくなってしまってきているので」


 わたしがそう言うと殿下は、


「何を甘えたことを言っているのだ。言い訳などするな。構わん。動かない方がいけないのだ。もう一度言う。動かなければ追い出せ!」


 と側近たちに言った。


「面白い」


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