第百五話 厳しい表情の国王陛下
婚約をすぐにでも認めてもらいそうな状況になったと思っていた。
しかし、国王陛下は厳しい表情のまま。
まだ認めていただけないのだろうか……。
そう思っていると、国王陛下は、
「あなたは王太子に対して、内政の助言をしたいと申しているそうだな」
と言った。
「はい。おそれながら、それが殿下のお役に立てる最大のことではないかと思いまして、そう申し出をさせていただきました」
「あなたのいた公爵家で領地経営についての助言をして、効果を上げていたと王太子が申していた。それを今度はこの王国で実現したいと思っているのだな」
「はい。そうでございます。どれだけの効果があったのかはわかりませんが、当時の当主でありました、わたしの父に助言をさせていただいておりました。その経験から、この王国の内政について助言ができれば、と思ったのでございます。それが、一番殿下に尽くすことになるのではないかと思いました」
「その為に、毎日努力していることも聞いている」
国王陛下はそう言って、一旦言葉を切った後、
「そこで、あなたに、今時点のこの王国の内政についての助言を聞きたい。もちろん、ここに来てからまだ一か月ほども経っていないし、もっている情報自体も限られているだろう。しかし、今後、王太子に婚約者として、妃として助言をしていくのであれば、少なくともここでわたしにある程度助言ができるようでなければならない。あなたにそれが今できないのであれば、わたしはあなたを婚約者として認めることはできない」
とさらに厳しい表情になって言った。
殿下に対しては、ここ一週間ほど、毎日少しずつ助言を行い始めていた。
その度に、
「いい助言をありがとうございます。これからの王国の内政に反映させていきたいと思っています」
と言ってくれていたので、自信は少しずつ持ち始めていた。
しかし、今日は国王陛下の前での助言。
ブリュノレンス王国の国王陛下と話をしたことはあるが、助言をしたことはない。
こうした経験は初めてだ。
どうしても緊張してしまう。
失敗をしたらどうしょう、とも思ってしまう。
しかし、これでうまくいければ、二人は納得し、婚約は成立に向かうということになる。
今まで検討してきたものを、助言として伝えればいい。
そう思っていると、そばにいる殿下が、やさしい微笑みをわたしに向けてきた。
そして、
「あなたなら大丈夫です。いい助言ができます」
と言って励ましてくれた。
殿下がいい助言といってくれているのだから。国王陛下もきっとそう思ってくれるに違いない。
殿下の為にも、わたしは助言を成功させる!
「わかりました。おおせの通り、助言をさせていただきます。国王陛下のおっしゃる通り、入手できた情報には限りがありますし、まだ一か月ほどの時間しかないところではありますが、今時点での助言をせていただくということでお願いします」
「ではお願いしょう」
「では助言をさせていただきます」
わたしはそう言うと、この王国の全体的な状況の説明をまず始めた。
「面白い」
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