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第百四話 国王陛下

 翌日。


 今日は、国王陛下と王妃殿下とお会いする日。


 わたしが王宮に来てから一か月が経っていた。


 殿下は、この日、わたしとの婚約をお二人に認めさせようとしていた。


 わたしは殿下とともに、国王陛下の謁見の間に向かう。


 そこで二人が待っていた。


 わたしはどうしても緊張してしまう。


 認めていただけなかったら……。


 昨日殿下から、自信を分けてもらったというのに、まだそういう思いが残っている。


 しかし、殿下は自信にあふれた表情をしている。


 その表情は美しさを伴っていた。


 婚約を認めてもらうのは、当然ということなのだろう。


 その姿に、わたしは力をもらった気がした。


 そうだ、殿下はこんなにも自信をもっている。


 殿下の婚約者になる人間が、こんな弱気なことではいけない。


 もっと強い気持ちになっていく。


 強い人間になってこそ、殿下にふさわしい婚約者になれるのだ。


 わたしは思い直し、殿下との婚約を絶対に成立させようと思うのだった。




 そして、その時はきた。


 国王陛下の謁見の間。


 国王陛下と王妃殿下が並んで座っている。


 その少し離れたところに、殿下とわたしがいた。


 殿下とわたしは、二人にあいさつをした。


「あなたがリンデフィーヌさんだね」


 国王陛下の威厳のある声、


 昔は勇猛果敢で、周囲の国々におそれられたそうだ。


 今は、年老いて体が弱ってきていると聞いていた。


 その為、殿下に少しずつ政務を移譲し始めているということだ。


 しかし、今日こうして会う国王陛下は、まだまだ元気があるように思えた。


「はい。おっしゃる通りでございます。ブリュノレンス王国のブルトソルボン公爵家出身、リンデフィーヌと申します」


「話は王太子の方から聞いている。なんでもブリュノレンス王国のマイセディナン王太子との婚約を破棄され、ブルトソルボン公爵家からも追放されたと聞く。ということは、今は貴族ではないということだ」


「おっしゃる通りでございます」


「そういう女性となれば、普通は、王太子の婚約者の候補になることすら無理だ。それはあなたもよく理解していることと思う。わたしは王太子から、あなたを賊から救けただけではなく、婚約をしたいと申し出を受けた時、めまいがする思いがしたのだ。王太子があなたを救けたこと自体はいいことだと思う。しかし、なぜそれで婚約者にするという発想になるのだろうか? わたしには、全く理解ができなかった」


 国王陛下の思っていることが普通だと思う。


 今でも同じ気持ちのままなのだろうか?


 殿下は、二人の気持ちは変化してきたと言っていたのだが……。


「その後、王太子が毎日のように、あなたのことをわたしたちに話にくる。婚約破棄と公爵家追放の理由も王太子の話で理解した。あなたの方に問題があったのではなく、向こうの王太子と公爵家の方に問題があったということだった。そして、内政で王太子を助けようとしていることも、王太子の方から話があった。それで、わたしたちは、王太子がここまで想う人であるならば、きっと王太子を支えるいい妃になるのでは、と思い始めていたのだ」


 国王陛下がそう言うと、王妃殿下も、


「わたしも最初は、王太子を惑わす女性だと思っていました。婚約破棄をされ、追放されたと聞いていたので。しかし、王太子の話を聞くうちに、そうではないと思うようになってきました」


 と言った。


 こう二人ともおっしゃってくれるのなら、婚約を認めてくれそうだ。


 わたしはそう思うのだった。


「面白い」


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