96/364
次の夢へ-7
『第3コーナーに入ります!
さぁ後方グループが徐々に前を詰めてきたぞ!』
(さぁ!ここからが勝負よ!)
浦河美幸は手綱からドリームメーカーの闘志を感じていた。
デビュー直後、泣いてばかりだった新人時代だった。毎日、騎手を辞める事ばかり考えていた。
競馬界はまだまだ男中心の縦社会。職人だらけのこの世界で女性が成功するのは至難の業である。
しかしそんな浦河美幸に一筋の光が差し込んだ。
ドリームメーカーだ。
はじめは落馬した村木義男の代役だった。しかしこの馬は暗闇だった浦河美幸の騎手人生を変えたのだ。
その小さい体に今後もスキルをたくさん詰め込み、彼女は馬に勝たせてもらうのでなく馬を勝たせる騎手に成長していく。
(ドリームメーカー!行くわよ!)
浦河美幸は手綱から相棒に合図を送った。