次の夢へ-6
『さぁ!レースは向こう正面!ドリームメーカーは爆進!
ファンタジスタはまだやや後方!』
宝田誠。海外修行を経た一流のホースマン。その相馬眼はアメリカ競馬界を震撼させる2頭の名馬を選びだした。
年明け早々、再び海外へと旅立つ宝田。
競馬修行…。これはあくまで建前だった。
宝田はひとつ隠し事をしていた。
欧州の育成施設にいるファンタジア最後の仔アムロ。このアムロの瞳の奥にかつて感じた事のない王者の風格を感じたのだ。
それはケンタッキーダービー馬イージーノアよりも、凱旋門賞馬ファンタジスタよりも、ジャパンカップ馬ドリームメーカーよりも…。
宝田はホースマンである。超一流の。
あの馬は自分で育てたい…。
日頃はおだやかな彼だが、絶対に譲れないものがある。
それは情熱だ。
アムロは宝田にとって自分の情熱をすべて捧げてもいい存在なのだ。
例え、恩ある牧場を去る事になったとしても、愛する人と別れる事になったとしても…。
宝田はテレビの画面の中で走るビンゴとコナンを見て思った。
先代…先代が最後に付けた馬が元気に走ってまっせ…。先代が言わはった情熱だけ持って欧州いきます…。
ビンゴ…
コナン…
ありがとう…おまえたちが僕の背中を押してくれたんやで…。
宝田誠。彼は欧州でもドラマを起こす。