次の夢へ-3
『グランプリ有馬記念!
今年も数々の感動的なレースがありました!
間もなく本馬場入場です!』
パドックに行っていた俺は馬主席へ戻ってきた。
すると瑤子と相羽ゆりが並んで談笑する姿があった。
俺は背後からそっと忍び、会話に聞耳をたてた。
相羽「ところで瑤子ちゃん。あなたのお母さんから聞いたけど、最近彼氏ができたんだって?」
瑤子「ええ…まぁ…」
相羽「あの人でしょ?ほら瑤子ちゃんの牧場の…大阪弁の獣医さん!
あの人はいい男よね~!」
瑤子「違うわよ!宝田さんじゃないわ」
相羽「え…?違うの?じゃあ…え…?まさか…」
瑤子「………」
相馬「龍田のボンボン?
う~ん…ま、まぁ…仮にも龍田ファームの社長だからね…瑤子ちゃんのステータスに釣り合わない事もないわね…」
瑤子「なにいってるの叔母さん!?そんなわけないじゃない!」
相羽「違うの?だってあとは思いつかないわ…。瑤子ちゃん程の美人で才女に釣り合う男って…社来の兄弟はみんな結婚していたわよね~」
瑤子「うちの社長よ…」
相羽「は?昨日の下品な男?
ハハハ!悪い冗談よしてよ!
あ!わかった!叔母さんに言えない人って事は…騎手ね!大丈夫よ、私は誰にも言わないわ!
ねぇ?誰?教えてよ~ぅ」
瑤子「だから本当に…うちの社長の飛田雅樹さんよ!」
相羽「…あなた真剣に言っているの?
あんな男…あなたのお父様とお母さんが賛成するわけないじゃない!
こんな…親不幸はないわよ!
すぐに別れなさい!
いいわ、私があの男に言ってやるから!
あんな男に瑤子ちゃんを幸せにできるわけないわ!」
瑤子「そんな…私は幸せよ!」
俺「俺も幸せです!」
しまった…堪えきれず言ってしまった。
相羽ゆりはその後、俺に勢いよく怒りをぶつけ、
「絶対に許さないから!」
と叫んで遠くの席に行ってしまった。
その間も、俺たちの手はしっかり繋がれていた。
今は貧乏牧場の2代目かもしれない。
でも必ず日本一の牧場にしてみせるんだ…瑤子と一緒に…!