乱舞-8
『シュバルツがドリームメーカーを捕えた!
シュバルツが頭ひとつ出たか!?
いや…ドリームメーカーが指し返した!
しかし再びシュバルツが…いやいやドリームメーカー行かせない!
レースは残り100を切った!』
(ドリームメーカー!お願い!がんばって!もうちょっとだから!)
浦河美幸はムチを振り上げた。
村木義男からアドバイスされた事、
「最後の最後でムチを使って怒りを爆発させろ」
ダービーで村木が放った二発のムチがドラゴンウイングを負かす起爆となった。
浦河美幸はためらわずに振り上げたムチを打ち降ろした。
「フンギャーーーーーーッッ!!」
悲鳴にもとれるドリームメーカーの雄叫び。
(お願い!勝たせて!)
浦河美幸のムチはもう一度振り降ろされた。
『もうゴール間近!
シュバルツが頭ひとつ出たぞ!
ドリームメーカーいっぱいか!?
ここでドリームメーカーにムチ2発!
再び…再びドリームメーカーが前に出たぞ!』
「コナーーーンッッッッ!!」
瑤子の叫びが響き渡った…!
『先頭はドリームメーカーだ!
シュバルツも喰らい付く!
サーチベルガが一気に差してきた!
その差半馬身!
外からサーチベルガが2頭をつかまえるぞ!
あーーーっとシュバルツは遅れた!?
サーチベルガが一気に一気に追い込んできた!
ドリームメーカーに詰め寄る!
しかし届かない!
なんと…
なんとドリームメーカーが1着でゴーーーールッッ!!
ドリームメーカーだ!
炎の如く1着でゴール!
ジャパンカップを制したのはドリームメーカー!
これは驚いた!
赤い伝説の幕開けだーーー!』
…………!?
勝った!?
「社長ーーーー!勝ちましたでーー!」
「勝ったよ!コナンが…コナンが勝ったよ!」
三人で抱き合った。
アイツ…やりやがった…!
評価額350万の馬が…
600㎏を超える馬が…
俺の持ち馬が…
瑤子の愛する馬が…
ジャパンカップを勝った…!
今日も泣いたっていいだろ…?
だって…瑤子も宝田も泣いてんじゃないか…。
東京競馬場の馬主席に、飛田牧場のいつもの三人の泣き声が響き渡った。