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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter10
82/364

乱舞-2

『ドラゴンウイングが大逃げで向こう正面を快走します!

だいぶ差が空いてロンバルディアとドリームメーカーが並んで追走!


レースは残り1000mとなった!


徐々にロンバルディアとドリームメーカーがドラゴンウイングとの差を詰めてきたぞ!



ドラゴンウイングが先頭で最後のコーナーに入った!


ここで一気にロンバルディアが前に出てきた!


ドラゴンウイング直線に向いて早くもムチが入る!


ロンバルディアがドラゴンウイングに迫ってくるぞ!

ドリームメーカーはちょっとついていけないか!?


400mをきって一気にロンバルディアがドラゴンウイングをかわした!』


直線に入ってすぐにロンバルディアが先頭に立った。



『残り200をきってすでにロンバルディア独走!

これは強い!

後続をグングン突き放す!


2着争いはドリームメーカーとドラゴンウイングだ!


長部は持ったまま!


8馬身ちぎってゴール!


クラシック最後の一冠はロンバルディア!


皐月賞と合わせて2冠達成!


まだまた進化する10億円馬!


2着はドリームメーカー!


これは強いロンバルディア!』



「こりゃもう成す術なしでんな~」

宝田の言うとおり、ロンバルディアにピッタリ併せていたドリームメーカーは一瞬にして置いていかれた。


しかしドラゴンウイングはすんなりかわして2着に入った。

ドリームメーカーの存在が当初噂になっていた四天王の構図を壊したのだ。


これはロンバルディアはドリームメーカーに恨まれるな…


なんだか負けたのに笑えてきた。

だってこんなに次走が楽しみな事がない。


俺は信じているんだ、ドリームメーカーに睨まれたヤツは絶対に逃げられないって事をね…。



浦河美幸はデビュー三年目で現在通算54勝。

重賞は2勝している。

過去の中央所属の女性騎手らと比べれば抜群の成績だ。


初重賞はドリームメーカーで京都新聞杯。

2勝目は今年デビューした2歳の有力馬ステージクロスで勝利したデイリー杯2歳ステークスだ。


浦河が所属する坂田厩舎に入厩したステージクロスはデビュー戦を圧勝。続くデイリー杯でも見事な差し競馬で快勝した。


有力馬だけに馬主は滝豊などのトップジョッキーを希望していたが、坂田調教師の方針で弟子の美幸が今のところは主戦をつとめている。



ヘマしたらすぐに降ろす!


坂田調教師の叱咤激励で美幸は愛情深く騎手として育てられていた。



菊花賞で2着に入り、引き揚げてきた美幸は検量を済ませて一息ついていた。

初めてのクラシック。しかも上位人気に推されていた。

小さな体に様々なプレッシャーを感じながら2着という結果を出すことができた。


ドリームメーカーの武田調教師からは、

「上出来だ。これからも頼むぞ!」

と労いの言葉をもらった。


しかし…美幸は何だかやりきれない気持ちになっていた。


師匠の坂田調教師が近寄ってきた。

「どうした?浮かない顔して?」


「坂田先生…私…」


坂田調教師は悟っていた。


「そりゃ悔しいよな…?お前は何もできなかったんだから。」


美幸の感情が一気に爆発して涙が溢れた。


そう…自分は乗っていただけ…武田調教師の指示通りに…。


坂田調教師は優しく言った。

「美幸。ステージクロスはまだ子供だ。ドリームメーカーのように賢い馬でもない。


…お前が育てるんだ。お前がドリームメーカーから競馬を学んだように、次はお前がステージクロスに競馬を教えてやれ。

新馬教育も騎手の大事な仕事だぞ。

実践で馬に競馬を教えるのは騎手だから。


さぁ…帰ってまたやり直しだ。」


「はい…!」

美幸は立ち上がり涙を拭いた。


騎手としてまた成長した美幸の姿に坂田調教師は嬉しく感じていた。


坂田調教師は武田調教師に一礼をして弟子とともに帰っていった。


この浦河美幸の成長した後ろ姿は武田にとってもまた嬉しい事であった。

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