陽炎-5
『さぁ枠入り開始です!
歴史に名を刻むのはどの馬か!?
凱旋門賞!!
スタートしました!』
出遅れはない!
『デビルカッターが行きます!
その後ろにシュバルツ!
2馬身離れてブレイブハートはこの位置!
それを見るようにファンタジスタと滝豊!
サーチベルガはその後ろ!
向こう正面をこの展開で走ります!』
デビルカッターがやはり逃げた。3歳馬が多いレースだ。前でレースしなければ後で《不利》が響いてくる。
日本では規格外のレースをしてきたデビルカッターが、この世界の舞台ではセオリー通りの走りをしていた。
この光景を見ただけで俺の中で緊張感が上昇した。
『先頭はデビルカッター!
その後ろにピッタリついているのがシュバルツ!
抜け出すタイミングを狙っています!
ブレイブハートはその2馬身後ろ!
奇跡の馬はどこから追い出すのか!?
そして日本のファンタジスタはこの位置で追走しているぞ!
前走は3着と破れたフォア賞!しかし今日は万全の仕上がりで挑んできました!
滝豊はどこから勝負にでるのか!?
サーチベルガも不気味に後方で待機!
レースは1000mを通過します!』
当初、社来の会議ではファンタジスタの騎手は現地欧州のトップジョッキーを乗せるはずであった。
しかし世論は滝豊の手で日本競馬の悲願を達成する事を望んでいた。
ディープインパクトやナイトメアでの雪辱は滝豊だけの雪辱ではなく、今や日本競馬全体の感情となっていた。
日本が生んだ天才はブレイブハートの姿をひたすら追っていた。
『さぁ徐々に直線へと向かって来ます全7頭!
デビルカッターが先頭!
デビュー以来オリバー・ペリアが手綱をとり続けています!
さぁーー!後続が動いたぞ!
サーチベルガが一気に前に上がってきた!
ブレイブハートも徐々に前に詰めよる!
それにファンタジスタもついていくぞ!
シュバルツがデビルカッターに競りかかる勢い!
レースは直線に入った!
残り600!
長い直線早めの勝負になるぞ!
サーチベルガが大外に持ち出した!
ブレイブハートだ!
ブレイブハートがグンっと加速!
早くもデビルカッターにペリアのムチが入った!
半馬身までシュバルツが詰め寄った!
シュバルツにもムチが入る!
2頭の叩き合いになった!
しかし!しかしブレイブハートもそれに加わる勢い!
ファンタジスタも必死についていくぞ!
サーチベルガも来た来た来た!
まだ前で2頭競り合う体勢!
400きってムチが入ったブレイブハートが並んだぞ!
ファンタジスタもムチが入った!
前3頭!
ファンタジスタは1馬身遅れている!
サーチベルガはちょっと遅れたか!?
ここでデビルカッターが再び前に出た!
しかしブレイブハートが差した!
シュバルツはまだ大丈夫だ!
ファンタジスタに滝のムチ!
一気に前に詰めた!
残り200!
あ”ーーーっとデビルカッターは遅れた!
デビルカッター後退!
ファンタジスタが3番手に上がる!
ブレイブハートが頭ひとつ出たか!?
いやシュバルツバルトが前に出た!
しかしブレイブハートがまた出たぞ!
ファンタジスタは3番手!1馬身差まで追い込んだ!
どうなるどうなる!?
』