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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter9
76/364

陽炎-4

凱旋門賞前夜。


フランスの三星レストラン

《ル・コック》

でダーリージャパン高橋氏の呼び掛けで、吉野照文氏、春文、そして俺と瑤子での食事会が催された。


社来新社長の照文さんとダーリージャパン高橋氏が会談を持つのは初めてで歴史的な場に立ち合った気持ちになっていた。


日本生産業界の今後、現状の小規模牧場へのサポートなど白熱した持論をぶつける場となり、かなり勉強になった。


そして話は凱旋門賞へ。


「デビルカッターはマル外であって日本馬ではない!」

照文さんが言えば、


「それはあなたの勝手な思い込み!」

と瑤子が…瑤子!?

だめだよ…照文さんに口答えしたら…。


マル外派の高橋氏と瑤子のタッグに照文さんは押されぎみだ。


しかし照文さんの話を聞いていると、どちらかと言えば高橋氏に近い考え方のような気がする。

しかし社来というブランドを守るために必死なのだ。

社来を守るという事は日本生産界を守る事に等しい。


凄い人だ、この人は…。



翌日、快晴。


ロンシャン競馬場にはたくさんの日本人競馬ファンも応援に駆け付けた。


俺と瑤子は運命の刻を待っていた。


「そろそろパドックに行こう!」

春文の誘いでファンタジスタを見にいった。

デビルカッターも元気そうだ。


そしてもちろんそこにはブレイブハートもいた。


『日本のみなさんこんばんは!

こちらフランスのロンシャン競馬場は快晴!

たくさんの日本人競馬ファンも駆け付けております!

我々日本の夢を背負って、デビルカッターとファンタジスタが走ります!

現在、デビルカッターは三番人気。ファンタジスタは五番人気となっております。

今年は例年よりかなり少ない7頭立て。どういった結末が待っているのでしょうか!?』


おそらく宝田は今頃テレビで観戦しついるだろう。結城美穂さんも来ているらしい。あの二人はちゃっかり付き合ってやがった。

うらやましい話だ…。


『さぁターフに本日の主役たちが出てまいりました。

人気順に紹介していきましょう。



1番人気はもちろんこの馬!ブレイブハートです!今年の英ダービー、愛ダービー、キングジョージを連勝しての凱旋門!

奇跡の馬!ブレイブハート!



2番人気にはシュバルツ3歳馬!独ダービーを勝ち前走フォア賞を大差勝ち。北欧の狼が牙を剥きます!シュバルツ!



3番人気に日本代表デビルカッター!前走キングジョージで人生初の敗けをきっしました。4歳馬の不利をどう克服するか!?

覇王デビルカッター!


4番人気にはアメリカから来た4歳馬サーチベルガ!昨年ケンタッキーダービーを制した後、芝に路線変更してカナディアン国際とBCターフを連勝!今年も米芝路線の主役として活躍しフランスに乗り込んできました!

アメリカンドリーム!サーチベルガ!



5番人気に日本ダービーを驚異の末脚で制したファンタジスタ!

菊花賞を捨ててまで勝利に賭けたこの凱旋門!勝つ為にきました!滝豊の悲願!日本競馬の悲願!

電撃!ファンタジスタ!



6番人気は英オークス馬シーバスリーガル!


7番人気にイタリアのトッティ!


以上7頭!


スタートまであと少しです!』


俺と瑤子は並んでターフを見つめていた。

二人共、スタートを待ち遠しく感じながら、ただファンタジスタを見ていた。


「まさか…本当に凱旋門にくるなんて…」

瑤子が呟いた。


「うん…夢みたいだ…」

憧れのロンシャンにいるのだ。まだまだ現実味がない。


「相羽の叔母さんが言ってたわ…私は社来の吉野社長の秘書になればよかったって…。でも、飛田牧場で良かった…。ビンゴが生まれた朝を今でも思い出すわ…。社長とビンゴが私をロンシャンに連れて来てくれた…。

…ありがとうございます…。

こんな幸せはありません。」


違う…感謝しているのは俺の方だ…。


キミや宝田がいたから俺はここまで来れたんだ…。



「俺…キミの事が好きだ…」

あ…!?コクっちゃった!?


俺は一人で勝手に盛り上がり、思わず言ってしまった。


沈黙の時間…。


やばい…まずい…顔見れね~…。



瑤子が俺の手を握った。


「私も…」



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