陽炎-3
《ホースニュース》
-激闘の秋!増刊号-
【海外情報】
ファンタジスタ3着!
凱旋門賞を目指して渡仏した今年のダービー馬ファンタジスタ(牡3)はステップレースに選んだフォア賞(GⅡ2400)で3着と破れた。
いつもと違う海外の馬場状態にキレを欠いた結果となった。
管理する臼井調教師は
『特に落胆する事もない。逆に上々の仕上がりだ。』
と話し、本番に向けて意気込みを新たにした。デビルカッターもすでにフランスに入っており、調整に余念がない。
【地方競馬情報】
盛岡タービーGP
地方交流GⅠダービーグランプリが開催された。
勝ったのは1番人気ユリノアマゾン。余裕の勝利だった。次走はJCDの予定だ。
【3歳クラシック情報】
ロンバルディア快勝!
菊花賞トライアルセントライト記念で皐月賞馬ロンバルディアが圧勝。ダービー馬不在の菊花賞を盛り上げる存在になるだろう。
ドラゴンウイング初重賞制覇!
クラシックの有力馬とされながらなかなか重賞勝ちに手が届かなかったドラゴンウイングが菊花賞トライアル神戸新聞杯を勝利。
フォア賞でファンタジスタはまったくいい所もなく負けてしまった。
急な海外遠征だったから調整が遅れたのだろうか?
しかし春文からの連絡では落胆はない。
あくまでも本番は凱旋門であると。
宝田も気にするような負けではないと言っている。
宝田が言うのだから間違いないだろう。
俺と瑤子はアムロと共にダーリージャパンが用意した飛行機で英国へと向かった。
空港にはベンゲル調教師が出迎えに来ていた。
「ヨウキナスッタネ!ドエリャ~マットッタガネ~!」
名古屋弁だ…。
俺たちはアムロを育成施設に届けた後、ベンゲル厩舎に行った。
今いる有力馬を見せてもらった。
「コノウマハ《アンリ》トイッテ、フランスノG1バダガネ!」
完璧な名古屋弁に俺も瑤子も笑った。
その夜、ベンゲル調教師の招きで、ブリティッシュ料理の店ラムタラで食事をした。
「エビフリャ~ハオイシイダガネ~」
楽しい食卓になった。
そして話は凱旋門賞の事となった。
「ブレイブハート!?
アノ馬ハどえりゃ~グレイト&ストロングだわ~!」
ベンゲル調教師の話では、おそらく歴史に名を残す名馬になる馬だそうだ。
そして目の前にいるベンゲル調教師が、名古屋人にしか見えなくなっていた。
突然ベンゲル調教師が歌い出した、日本の歌で1番好きな歌らしい。
「いい~ぞ!
がんばれ~!
ドラゴンズゥ~!
I LOVEドラゴンズゥ~!」
ほとんどのカタカナが消えた。
翌朝、俺と瑤子はドーバー海峡の地下を通る鉄道で、決戦の地…フランスへと向かった。