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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter9
74/364

陽炎-2

ファンタジスタが無事日本を発った。

現地では照文さんが待っている。

まずは9月2週のフォア賞(GⅡ フランス・ロンシャン競馬場 芝2400m)に向けて調整される事となる。



今年デビューの二歳馬で注目を浴びているのが、ステージクロス。トウカイテイオー産駒だ。



8月も終わり頃、うちの牧場でちょっとした事件があった。

アムロが柵を飛び越えたのだ。

うちの牧場始まって以来の珍事にみんなで驚き笑った。

しかし宝田はこの瞬発力に期待感を露にして喜んでいた。



アムロは英国に空輸された後、入厩までの1年半はダーリーの育成施設で過ごす事になる。

俺たちはアムロが旅立つ日まで精一杯親代わりをするつもりだ。


盛岡で行われる

地方交流GⅠ

《ダービーグランプリ(3歳限定 盛岡競馬場 ダート2000m)》

瑤子はひとりで現地に向かった。

ドリームメーカーは現在2番人気。

1番人気はユリノアマゾン。

馬主席で瑤子と相羽ゆりが並んでいるのがテレビで確認できた。


約三ヶ月ぶりに見るドリームメーカー。

あたりにピリピリとした緊張感を与える威圧ぶり。

睨みをきかせて他馬にプレッシャーを与えていた。


てか…GⅠ未勝利馬のくせに…。


俺は心の中で悪態をついた。もちろん褒めているのだ。



ユリノアマゾンはあまり闘志を外に出すタイプの馬ではない。

淡々とパドックをこなしている。


地方のGⅠとはいえ浦河美幸にとっては初GⅠ騎乗である。

ちなみに最近、浦河美幸の男性ファンが急増している。

競馬場には珍しいアキバ系のマニア達が盛岡に集まってきている。


みんなで揃って

『美幸ちゃん萌え~』

の大合唱だ。



レース発走まで後10分だ。


『さぁここ盛岡に中央のGⅠを二勝しているスーパーホースユリノアマゾンがやってきました。


そしてもう1頭!

今年のクラシックに話題を振り撒く赤い馬体!

ドリームメーカーも出走します。

初ダートですがどんな走りを見せてくれるでしょうか?』


ドリームメーカーが闘う獣の目に変わった。

よ~し!今日も吠えろドリームメーカー!


「メルメルメーーー!」


!?


メルメルメ…?

『さぁ11頭ゲートに入って…ダービーグランプリ!ダート2000m!


スタートしました!』


相変わらずスタートは抜群だ!


『ドリームメーカーがグングン前に出ます!ユリノアマゾン今日はシンガリではなく中団に待機!

ドリームメーカーがすでに8馬身程逃げる展開です!』


まずは一周目。ドリームメーカーはいつもの爆進で前に出た。


ユリノアマゾンはいつもより前に位置取り。小回りのこの競馬場での追い込みは封印したようだ。

『さぁレースはすでに最後のコーナーに入ります!

ドリームメーカーが先頭!

ユリノアマゾンが一気に前に詰めた!

グングン上がっていく!

ドリームメーカー直線に向いた!

その2馬身後ろにユリノアマゾン!

これはユリノアマゾンがいい脚だ!

ドリームメーカーはついていけないか!?

あっという間にユリノアマゾンがドリームメーカーをかわした!

そのままユリノアマゾン1着でゴール!

ドリームメーカーは1馬身遅れて2着!

これは強い勝ち方だったユリノアマゾン!

ドリームメーカーに競る間も与えなかった!』


…まぁしょうがないか…。


俺は暴れ狂うドリームメーカーを映し出すテレビのスイッチを切った。


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