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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter7
62/364

鎮静歌-5

「瑤子ちゃ~ん!

あらっ?ちょっと痩せたんじゃない?」

瑤子に声をかけ隣に座った女性、相羽ゆりだ。


「叔母さん…


パドックは行かないの?」


「私の仕事は走る自分の馬を見守るだけ。

馬を仕上げるのは調教師やスタッフの仕事。

私は信じて出走まで待つだけよ。」


そうだった…この人はそういうスタイルだった。


「もう六年ね、瑤子ちゃんが私のところを飛び出してから…」


瑤子は黙って聞いていた。瑶子にとって相羽は親も同然の存在だ。


「で…?いつまであんな所に隠れているつもり?」

突然、相羽の声が変わった。まるで親が子供を叱るような静かな声。


「別に隠れているわけじゃ…」

ためらい混じりの反論であった。

瑤子が世界で一番恐れる人物…それは隣に座る相羽ゆりだからだ。


「あっそう…。

私はね、瑤子ちゃんにこの世界で生きていくあらゆるスキルとノウハウを教えたわ。

もし《あの事件》で私に怒っているなら、あなたは私のところで学んだ《武器》で私と戦うべきだったわ。

はじめは社来の吉野のところにいたんでしょ?

てっきりあのオヤジの秘書にでもなってると思ったのに…


探したのよ…。」


相羽の口調は厳しく、しかし優しさも感じられた。


「あなたは私に会いたくなくて、あんな誰も知らない小さな牧場に隠れていたのよ…。」


…その通りだった…。

瑤子が口を開く。

「はじめは…たしかにそうだったわ…。

でも今は違う!


信じられる仲間と出会えたし、コナン…ドリームメーカーとも出会えたの!

今日からが私と叔母さんとの戦いよ。」

決意のこもった瑤子の言葉に相羽は安堵の表情を浮かべた。


「…わかったわ…。

挑むところよ!」


立ち上がり去ろうとした相羽は、

「お父様もお母さんも心配してるわ。たまには電話してあげなさい…。



後…なにかあったらすぐに叔母さんに連絡してね…」

寂しげな目でいった。


「ええ…。叔母さんありがとう…」


雪解け間近の予感だ。


『さぁ!日本競馬最大の祭典

日本ダービー!


本馬場入場です!


人気順に紹介していきましょう!



まずは皐月賞馬!

晴れの舞台に堂々の1番人気!

名手長部を背に乗せて!

天空の馬ロンバルディア!



2番人気はファンタジスタ!今日の天才滝はどこから動くのか!?

母ファンタジアも見守っているぞ!

電撃ファンタジスタ!



3番人気には昨年の二歳チャンプ!NHKマイルカップも制したユリノアマゾンです!

職人河内が直線でレースを切り裂きます!

弾丸ユリノアマゾン!



4番人気!スビード勝負じゃ絶対に負けない!今日も巧者安東とレースを引っ張ります!

華麗なる一族ドラゴンウイング!



出てきました5番人気ドリームメーカー!

その迫力!その圧力!

ダービー初騎乗の村木義男を従えて!見るものを魅力する真っ赤なボディー!

赤いエクスタシー!ドリームメーカー!



6番人気はフォークギア!ダービー兄弟制覇を目指します!




以上18頭です!』




きた…とうとうきたぞ日本ダービー…!


さぁコナンよ!今日も景気よく吠えてくれ!


「ウガーーーーーーー!」



「絶対ファンタジスタが勝つ!

春文が言った。

そうだ…このレースだけは負けたくない!

ファンタジアの為に…!



瑤子はドリームメーカーの単勝馬券を握りしめ祈っている。



自信に溢れた高橋氏の顔。


不気味な存在、相羽ゆりの確信めいた顔。


一人淋しげにターフを見つめる龍田の顔。



この日のために…。

この日のために今日までがんばってきたんだ。


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