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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter7
60/364

鎮静歌-3

『1番人気で迎えたドリームメーカー!

今日は少し落ち着いた様子を見せております。』


たしかにいつものドリームメーカーらしい荒々しさは感じられなかった。


『さぁ!枠入りが始まっております。

おっとドリームメーカーが動きません。』


デビュー戦のようにゲートに入る直前で立ち止まるドリームメーカー。


「ムーーーー……」

低い声で空に鳴いた。

それは悲しげで哀愁漂う姿だった。


宝田が思い出したように言った。

「そう言えば…こいつが小さい頃、母のフォーリンレインの乳だけじゃ物足らなくて、ビンゴを押し退けてファンタジアの乳も吸っとりましたな…」

ガキの頃に世話になった3つ隣の馬房に住むツレのオカンの死を悲しんでるって言うのか?

息子のビンゴ本人だって知らん事を…。


いや…本当のところはわからない。でもそんな気がしたんだ…。俺も宝田も…。



「ムーーーー…」

まるで鎮静歌<レクイエム>のようなドリームメーカーの嘆き。


しかし突然

「ウリリリーリーーー!」

と吠えた!

そうでなくっちゃ!


空に向かって何かの誓いを立てたドリームメーカーは逆に係員を引きずるようにゲートに入っていった。



『ドリームメーカー入って…体勢完了!

京都新聞杯…


スタートしました!』


抜群のスタートでハナをきったドリームメーカー!


『真っ赤なボディーで疾走します!

本日1番人気ドリームメーカー!』



エンジンぶるぶる絶好調!


『さぁ直線!

ドリームメーカーまったくペースが落ちない!

馬場のど真ん中を堂々と!ふてぶてしく!

大差をつけて…


ゴール!


ドリームメーカー重賞初制覇!

浦河美幸も重賞初制覇!

賞金的にもダービー出走は確実です!』


ゴールした後、ドリームメーカーはまた空に向かって鳴いた。


まるでファンタジアにこの勝利を捧げるとでも言いたそうな…。



何度も言うが、そんな気がするだけだ。



でもそんな気にさせるんだこいつは…。


ありがとうコナン…。


俺は勝手な思い込みで勝手に礼を言った。



浦河美幸騎手の初重賞制覇コメント

『ありがとうございます…うっ…うれしいです…うっ…うわ~ん』


武田調教師のコメント

『1番人気になった時は正直困った。しかしまさか勝てるとは…この馬は底が見えない。』


馬主代理の菱田瑤子さんのコメント

『この仔はやればできる仔なんです!』


次走はもちろん日本ダービーだ。


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