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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter6
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序奏-9

俺と瑤子は帰りの飛行機を待つ間、空港内のラウンジで時間を潰した。

そういえば二人でお茶するのは初めてだ。


いろいろな話をした。

牧場の事、ビンゴやコナンの事、そして昔話。


初めて瑤子に会った時、彼女は都会の臭いがする女性だった。

もちろん今の瑤子だって、たとえニューヨークでもパリでも一番輝ける素晴らしい女性だ。

でも、あの頃と今とじゃ明らかに違う所がある。


それは瞳だ。


都会とは違い牧場の時間はゆっくり流れる。


忙しい作業の毎日だが、そのスローな時間が確実に彼女の過去の傷を癒したのだろう。



しかし俺には不安があった。彼女はうちのような小さな牧場でおさまる器ではない。それは宝田にも言える事だが…。


いつか…傷が完全に癒えた時、どこかへ羽ばたいてしまうのではないか…。


そう考えると切なくてたまらない。


飛行機の時間が迫りラウンジを出る時、瑤子が言った。

「そういえば最近、結城美穂さんから宝田さんに頻繁に電話があるんですよ~」


なに~!?宝田…抜け目ないな…。


「帰って二人がかりで白状させちゃいましょ~!」



そうだ…今は二人で帰ろう。


今はまだ瑤子の帰る場所は牧場なのだから…。



皐月賞も終わり、二週間後には天皇賞。

そして種付けシーズンだ。


コナンは京都新聞杯へ向け動き出し、ビンゴはダービーでのリベンジを果たすためにさらなる飛躍の調教に余念がない。


そういえば今週、ドルフィンリングが牧場に帰ってくる予定だ。

屈腱炎になってしまった。引退させる事にした。

超早熟馬のドルフィンリングはピークが今。

正直、今後の活躍は見込めそうもない。

短い現役ではあったが、馬主になった俺にとって初めての持ち馬だ。

大事にうちで繁殖馬として過ごさせるつもりだ。



放牧しているファンタジアとアムロの姿を見た。


サラブレッドの血は時代を巡る。

それは人の夢と共に…。


「夢を繋ぐ仕事か…。」


自分のガラじゃないセリフに俺は笑った。



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