表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter6
54/364

序奏-6

今年も出産シーズン到来。

しかし今年は怖いぐらいに順調だ。

ほとんどの繁殖馬が一気に出産し終わった。


期待のファンタジアの仔も無事誕生。

ディープインパクトを父に持ち、兄はファンタジスタだ。売ればかなりの高値になるだろう。


しかし俺は決めていた。


この馬だけは、俺が馬主としてデビューさせる。


瑤子と宝田も賛成してくれた。

そして宝田がまた勝手に名前を付けやがった…。


《アムロ》


バカにしてるのか?

いきま~すと叫びそうになっただろ~!

しかし瑤子もアムロと呼びだした。

はい、アムロで結構です…。



突然我が牧場に金村氏が訪れた。

「この馬を是非売ってくれ!」


お断りした。



翌日、フサイチがきた。

「この小切手に好きなだけ数字を書きなさい。」

100億と書いたら怒って帰っていった。


絶対売らない!


どれだけ大金を積まれても!



ファンタジアとアムロは、完成したばかりの新しいファンタジア専用厩舎に入った。


そして…桜花賞をビリーブアゲインが勝ち、いよいよ皐月賞となった。


このクラシックという狭き門にうちの生産馬が2頭もくぐった…これだけでも奇跡なのに、ファンタジスタは二番人気と有力だ。


この日、牧場は宝田とバイトに委ね、俺と瑤子は中山競馬場に向かった。


馬主席につくと、大馬主の面々が揃っていた。


日本中が注目するクラシック第一弾皐月賞(GⅠ 中山競馬場 芝2000m)。

スタートはもうすぐである。


『あいにくの小雨ぱらつく天気となりました中山競馬場。

芝は良馬場です。

クラシック第一弾皐月賞の発走が近づきました。


史上稀に見る激戦が予想されます今年のクラシック。


2年前に生まれた9000頭の中から出走できるのはわずか18頭。

狭き門をくぐって辿りついた若駒が中山2000mを駆け抜けます!』


パドックで見たファンタジスタはまさに絶好調といった様子。

ロンバルディアも死角のないオーラを発信している。

ドラゴンウイングも以前のチャカついた所はなく、嵐の前の静けさ…そんな緊張感溢れるパドックだった。



ドリームメーカー以外はね…。



「ガーーーー!」

ドラゴンウイングに対して吠えまくるドリームメーカー。かなり悔しかったのだろう…。

もう目は吊り上がり、鼻の穴を広げて興奮している。いや…興奮って言うよりご立腹?って感じだ。

今日の鞍上は村木義男。いつの間にか浦河美幸が主戦騎手となってしまったが、まだ通算勝利数が規定に達しておらずGⅠには騎乗できないらしい(通算勝利数が31勝に満たない騎手はGI競走に騎乗することができない)。

村木は平地のGⅠに乗るのは八年ぶりだ。

昨日、武田調教師に話を聞いたら、

「騎手は誰でもいい。ひとつ希望を言うなら、名手とか天才って肩書きがある騎手は乗せたくないな。ドリームメーカーは常識が通用しない馬だ。え?もちろん悪い意味でだ!

キャリアとか経験がある騎手はレース中に的確な騎乗を体が勝手にしてしまうだろう。

それではドリームメーカーの本来の爆発力は出せない。かえってキャリアや経験が邪魔になる。

村木のようにドリームメーカーって馬を理解した騎手、浦河のような馬にすべて委ねる騎手こそヤツの本領を発揮できるんだ。

なんならお前が乗るか?つかまってるだけでいいぞ」


まぁ…とにかく信じよう。


馬主席ではオーナー同士の争いとなった。


「勝つのは我がドラゴンウイングだ。」

龍田が言えば、

「いやファンタジスタだ!」

と春文。俺もファンタジスタって言おうとしたら

「ドリームメーカーです!!」

って瑤子。


まぁ…ヨソからみれば滑稽な四人だ。

「なんか楽しそうだね~?」

と高橋氏が寄ってきた。

「あら瑤子ちゃん?お元気?」

このレースに出走馬もいないくせに相羽ゆり。


「頼むから譲れ!」

「おい!100億ってなんなんだ!?」

フォークギア馬主の金村氏とフサイチも絡んできた。


なんか実感してきた…俺も馬主になったんだな~って…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ