爆心-4
「コナン行けー!」
「コナン…コナンがんばれ!」
宝田も俺も必死に声を出した。たとえこの声がコナンに届かなくても…俺たちは叫ぶんだ…コナンがんばれ!って…。
『さぁドリームメーカーがリード!頭ひとつ出ている!
ブッフバルトが差を詰める!
しかし…
届かず!!
ドリームメーカー1着でゴール!
勝った勝った!前代未聞の巨漢馬ドリームメーカー!威風堂々のデビュー!』
やった…
勝った…
「勝ったーーーーぁぁぁぁ!!」
俺は宝田と抱き合った。冷静に考えると気持ち悪いが、そんなのはどうでもよかった。
「社長!やりましたな!やりましたな!」
宝田も喜びに飛び跳ねている。
今頃瑤子も泣きながら喜んでいるだろう。
『おっと?ドリームメーカーどうした?』
抱き合った俺と宝田は再びテレビを見た。
ドリームメーカーは向こう正面をまだ走っている。
『これは…放馬(競走馬が騎手を振り落とし逃げること)ですか?』
放馬ってジョッキー乗ってんじゃん。
『係員が綱を張って馬を止めます』
ドリームメーカーはジョッキーを背に乗せたまま放馬した…。
こいつは最後までやらかしてくれる…。
しかし突然ドリームメーカーはまた走り出した。浦河美幸は必死に綱を引いているが止まらない。
係員が張る綱を蹴散らし、スタンド前に全力で走ってきた。
俺はこの馬がレースも終わったのになんでこんなに興奮しているのかがわからなかった。
でも…なんかこんな事が前にもあったような…。
ドリームメーカーが全力で走っている先に…
瑤子がいた。
宝田が言った。
「きっと瑤子ちゃんを探しとったんですな…」
親父の言葉がまた脳裏に蘇る。
《馬はなにかの為に走っている…》
瑤子の為に走っているのか…?この暴れ馬は…。
俺は込み上げるものをグッとこらえた。