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【ありがとう200万PV!!不定期連載再開】競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter5

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爆心-2

『先ほどの第4Rでの村木義男騎手の落馬負傷の為、第5R2歳新馬戦ドリームメーカー号の騎手が浦河美幸騎手へ乗り換わりとなります』

浦河美幸って…まだ去年デビューしたばかりの新人女性ジョッキーじゃないか!?

大丈夫なのか?


これは後日、帰ってきた瑤子から聞いた話だが、このレースに騎乗のない騎手らに依頼したが、暴れ噛みつく気性悪があまりにも有名ですべて断られてしまい、最後は嫌がる新人を、なかば強制的に600㎏を超える巨漢馬に乗せたらしい。




パドックが始まった。


で…でか…。


下見場を周回する他馬よりふたまわりはでかい…。


『いや~これは驚きですね~

なかなかここまで大きな馬は見たことありませんね~』


俺だって見たことないよ…。


ドリームメーカーがアップで映った。


栗毛の馬体。毛ヅヤはかなりいい。


しかし…なんとも目付きが悪い。なんか悪い事をしでかしそうな凶悪な目。

周囲にガンを飛ばしながら周回している。


四人引きで…。



宝田が言った。

「あれだけの気性難なのに、矯正器具を使ってないのはなんででしょう?」


たしかにドリームメーカーの顔にはブリンカー(馬の視野を制限するための馬具)もシャドウロールもついていない。


武田文吉…俺はあなたを信じていいんですか?

騎乗の声がかかり一斉に騎手が各馬の背に股がる。


ドリームメーカーに股がった女性ジョッキー浦河美幸。


体の小さい騎手の中でも、さらに小さく見える。


俺はノートパソコンを開き彼女を検索した。


身長151cm。昨年デビューして初勝利に半年かかる。

デビュー2年目で通算勝利9勝。


宝田がノートパソコンを覗きこんで言った。

「乗れてませんな~」


たしかに乗れてない…。


テレビに映る浦河美幸を見たら…


泣いてんじゃないか!?


後で髪を束ねた浦河美幸は泣いていた…。


そんなに嫌なんだ…。


『先ほどまで首を上下にしていたドリームメーカーが突然落ち着いたように見えますが…』


たしかに…。


「こりゃたいした馬ですわ~」

宝田が唸った。


えっ?どういう事?


「ドリームメーカーは騎手が乗った瞬間に切り替えよったんですわ~賢い馬ですわ~それにめっちゃ集中力のある馬でっせ…」


ええ~!?


画面に馬を引く原辰巳が映った。なぜか自信に満ち溢れた顔。


現在ドリームメーカーは三番人気。違う意味で名を広めたから多少の知名度はあるようだ。


一番人気はダーリージャパンのクリンスマン。ドイツから輸入されたマル外。


二番人気も同じくダーリージャパンのブッフバルト。こちらもドイツからの輸入馬だ。



瑤子は今どんな気持ちでいるのだろう…。

ドリームメーカーの…いやコナンの晴れ舞台を…。



返し馬…ドリームメーカーは全力で走る。騎手は立ち上がり必死に抑えている。


宝田は笑っている。


俺は空ゲロ連発。



突然ドリームメーカーが立ち止まった。


空を見上げるドリームメーカー。




「ワオ~~~ン!!」

狼のように雄叫んだ…。


そしてまた全力疾走。


あいつは絶対馬じゃない…。

枠入り開始。


各馬順調にゲートに入っていく。


ドリームメーカーは…動かない…。


係員が数人で引っ張るがビクともしない。



ゲートまであと数mで立ち止まったドリームメーカーはなにやら遠くを見つめていた。


日差しで栗毛の馬体が真っ赤に染まる。


ドリームメーカーの目線の先には…ゴール板があった…。



まさか…。


そんなわけがない…。


俺は頭をよぎった妄想をすぐに振り払った。


わかるわけないだろ…馬にゴール地点なんて…。




しかし俺はなぜか先日見たアフリカのドキュメント番組を思い出した。


戦闘民族マサイ族。


真っ赤な衣装でアフリカの広大な草原を狩りして歩く勇敢な民族。


日差しで真っ赤に染まるドリームメーカーの遠くを見る目が、まさに獲物を狙う狩人の目に見えた…。


「ワゥワゥワゥワゥ~~~」

突然ドリームメーカーがまた空に向かって吠えだした。


その後、ドリームメーカーは自らゲートに入っていった…。



なんなんだこの馬は…。


『各馬…体勢完了!!スタートしました!!!』

俺には見えた。

ゲートが開いた瞬間、でっかい馬の顔が、どの馬より先に見えた。


「よし!」

俺と宝田は立ち上がってガッツポーズをした!


『ドリームメーカー好スタート!

迫力の600㎏の馬体を揺らしながらハナを切った!』



しかし…


『ドリームメーカー後続をぐんぐん引き離しにかかる…


…?


ドリームメーカー!これは掛ってしまっている!

鞍上の浦河美幸は立ち上がり必死に抑えるが、まったく抑える事ができません!』


暴走だ!


こいつはただ全力で走ってるだけだ!


俺と宝田は静かに座った。


『ドリームメーカーから遥か後方の馬群の先頭に人気のクリンスマン!

中程にブッフバルト!


先頭のドリームメーカーの勢いは止まらず!

浦河美幸は立ちっぱなしだ!』


瑤子…君は今…阪神競馬場でなにを思う…。



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