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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン6 chapter FINAL
361/364

そして…未来へ-4


「世界頂上決戦!すでに14頭がゲート入りを待っております!」


ファンファーレ鳴り響く中山競馬場。

大観衆の怒号の中、枠入りが始まった。


「枠入り順調!残るは大外枠ドリームメーカー1頭です!」


ゲート前で立ち止まるドリームメーカー。いつもならばここで大きな雄たけびをあげる。

しかし今日のドリームメーカーは違った。

落ち着いていたのだ。さっきまでのパドックは荒れに荒れていた暴君。

しかし美幸を背中に乗せた瞬間、一気に冷静さを取り戻した。

それは穏やかで静かな眼差し。遠くを見つめるその視線の先にはゴール板があった。

「どうしたの?」

美幸の優しい言葉にドリームメーカーはゆっくりとゲートに入っていった。


「全馬ゲートイン!体制揃って・・・スタートしました!!!」


10


「揃ったスタート!まずは先行争い!

行った行った最強の2頭!プロミネンスとゾディアックがハナに立ちます!

続いてアルバトロス!その外のブラックエンペラー!

2馬身あいてサザビーはこの位置!デビルマンは控えます!

その後ろエクスキューションとエアマスターが並んで、それを見るようにハマーンカーン!その内にセキトバとユリノファンタジー!

さらに後方はストライクドリームとシューティングレイが追走!

最後方にはドリームメーカー!!


このような展開で正面スタンド前を通過していきます!」


美幸は驚いていた。いつもならばドリームメーカーが自ら位置を決め、それに美幸が合わせる展開であった。

しかし今シンガリに位置しているのは美幸の手綱によるものだ。

スタート直後、手綱を絞った美幸の指示にドリームメーカーが従ったのだ。

もちろん的矢の教育の成果でもあっただろう。

だが美幸はそれとも違うなにかを感じた。

コンビを組んで10年。やっとひとつになれた気がしたのだ。

5年の休養と1年の解消期間もあったが、美女と野獣は【赤い糸】で結ばれていたのかもしれない。

美幸は腹を決めた。


私が勝たせてあげる!


11


「レースは向う正面!先頭は最強の2頭が熾烈な争い!

譲らないプロミネンスとゾディアックが後続を4馬身はなして逃げております!」


キャスパルとバットはけっして逃げているわけではなかった。

二人にとってこの有馬記念はマッチレースに他ならない。

これは世界最高峰のレースでしのぎを削り合ってきた者同士がわかるレベルの違いだった。

日本馬のレベルが低いのではない。2頭のレベルが高すぎるのだ。


この意図を理解している後方アルバトロス鞍上の三田は苦渋に満ちた表情を浮かべていた。

(日本競馬トップレベルのつわものが揃ってこのザマか・・・)

絶対的なスピードの違いに絶望感すら覚える。

それは三田だけではなく日本馬騎乗のすべての騎手が感じていた。

ただ1頭、シンガリを行く鞍上を除いて。



「さぁ!第3コーナーからレースが早くなります!

しかし前2頭は止まらない!5馬身差の後続はほぼ団子状態!この中から抜け出すのはどの馬だ!?」


野田新之助の手が動いた。シューティングレイを徐々に前へと押し上げる。

この位置だと先頭まで9馬身といったところ。

けっして早目とは言えない仕掛けだがエンジンのかかりの遅いシューティングレイでは仕方がない。

(これはちょっと厳しいぞ~・・・。)

ムチを構えた野田。600の標識を確認してシューティングレイにスパートを促した。


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