名牝の条件-1
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『エリザベス女王杯の発走が近づいてきました!
1番人気はハマーンカーン!
今年は日本の優駿牝馬を、渡米してアメリカンオークスを制したドバイの女傑!
騎手は本年度5ヶ国でGI勝ちを治めているキャスパル・ダイク!
2番人気は今年の桜花賞馬セラ!
内川博が手綱を握ります!
3番人気秋華賞馬フライングスカイ!
鞍上!福永祐二!
4番人気ヴィクトリアマイルを制した4歳馬ラヴァーズアゲイン!
鞍上三田崇!
5番人気は1年半の休養明け6歳馬ユリノファンタジー!
3年前のオークスとエリザベス女王杯と一昨年の宝塚記念を制した女傑が、屈腱炎から帰ってきました!
鞍上は安田富一!
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以上16頭!
まもなく発走です!』
京都2200mで行われる牝馬限定GIエリザベス女王杯。
三歳牝馬(旧四歳)限定レースとして牝馬三冠最終レースの位置付けであったが、古馬にも出走が開放され、現役No.1牝馬決定戦の役割を果たすはずであった。
しかし番組改変により、強豪牝馬が天皇賞からジャパンカップの王道路線へと進む傾向が強く、三歳牝馬は秋華賞からすんなり出走、しかし古馬はいささか手薄になりがちになっている。
だが近年は国際GIの格上げに伴い、海外の一流牝馬の参戦が増え、出走馬レベルは上がりはじめていた。
これは過去に制した名牝達が残した礎があったからこそである。
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名牝と呼ばれた馬に名を連ねるには、ある一定の条件が必要とされる。
それは現役時代に牝馬の頂点にいる事はもちろんだが、一流どころの牡馬相手に勝利してこその称号なのである。
例えば、女傑と称されたヒシアマゾン。
勝ったGIは阪神3歳ステークスとエリザベス女王杯の牝馬限定戦だけだが、GI級の古馬相手にオールカマーや京都大賞典などの重賞を圧勝し、ジャパンカップや有馬記念を2着と時代を代表する馬として語り継がれている。
エリザベス女王杯の勝ちこそ無いが、四歳時(現三歳)にオークス、古馬になり天皇賞(秋)を制したエアグルーヴ、牝馬ながら日本ダービーやジャパンカップなどGI7勝のウオッカ、牝馬2冠に加えグランプリ有馬を制したダイワスカーレット…etc。
歴代の名牝の中でどの馬がNo.1かなどと序列をつけたがる人間もいるが、もちろん実際に同レースで決着が成せない現代では、それを決めるのは不可能である。
だが過去を振り返るのも競馬の楽しさの醍醐味であり、永遠に議論され続けるテーマであろう。
もしその議論のテーブルについたのであれば、もう一頭、名を連ねたい名牝がいる。
スターロッチ。
この馬である。