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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン6 chapter3
326/364

東京優駿-4

7

『さあ各馬ゲート前に集まってまいりました。

超満員の東京競馬場のボルテージも最高潮です!


今日の解説はおなじみ長部幸雄さんです。

よろしくお願いします。』


長「よろしくお願いします。」


『では長部さんから見てどの馬がよく見えますか?』


長「そうですね。やはりシューティングレイがいいですね。少し前走から馬体が増えているようですが、これもプラス材料です。」


『なるほど。しかし長部さんはクラウディハートに本命の印を打っておりますが?』


長「はい。前走のNHKマイルは見事な差し切り勝ちでした。距離の延長は血統的に問題ないでしょうし、東京に向いている馬のような気がしますね。」


『はい、それでは日本ダービー間もなくスタートです!』


安田はストライクドリームの首筋を優しく撫でた。

「なんとかここまで辿り着いたな。

どうした?少し震えているな。


まあ・・・気楽にいこうや。

と言う俺も7年ぶりのダービーだから緊張しちまってさ。


でもどんなに気負っても、俺たちにできる事は一つさ。


最後の直線に全てを賭ける!


そうだろ、相棒?」


ストライクドリームと安田富一は静かにゲートへと動き出した。


馬主席では田辺真が静かにターフを見つめていた。


彼が競馬と出合ったのは2年前のチャーチルダウン競馬場でのケンタッキー・ダービー。

その2週後にこの東京競馬場でヴィクトリーロードの圧勝劇を目の当たりにした。


そして今日、自分が所有する愛馬がダービー出走という念願を果たしたのだ。



同じく馬主席でターフを見守る結城定男。


今は亡き娘の美穂の希望を載せたクラウディハートと山形茜を愛しい眼差しで見ていた。


普段は強気の山形茜もこの日ばかりは極度の緊張下にいた。

(ちくしょう!身体が動かない!私らしくない・・・。)

震える手でしっかり手綱を持った茜は少しの身体の火照りを感じながらゲートへ向かった。



東京競馬場2400m。

それぞれの夢を乗せて18頭の優駿がゲートに入って

いった。


8

『さ!日本ダービー!


各馬ゲートに入って…


スタートしました!』


『まず飛び出したのはアルバトロス!1馬身2馬身・・・4馬身グングン突き放します!


続いてカスカベアクション!

その1馬身後方に10頭ほどの集団!

引っ張るのはアドバイザアーロン!

外国馬フレンドリーシップはこの位置!

馬群の中にクラウディハート!

そのすぐ外にオメガフライト!


集団の最後方にシューティングレイ!

その2馬身後ろにシンガリから追走のストライクドリーム!


このような展開で第一コーナーに向かいます!』


三田崇は1枠の利を活かして一気にスタートダッシュでハナをきった。

スピードと力で押し切るタイプのアルバトロスは逃げてこそその実力を発揮できる。

前走の皐月賞はその性質が災いしてカスカベアクションの挑発にまんまと乗ってしまい

出遅れたシューティングレイに詰め寄られてしまった。

しかしこのダービーは違う。

常に後方との距離を保ちながら退き付けながらレースを進める。

このまま4馬身をキープしたまま最終コーナーを周れば、この馬の持ち味である【2段目のギア】で勝てる。


三田崇は慎重にアルバトロスの折り合いをつけながら、第一コーナーに向かって大観衆の歓声響くスタンド前を先頭で疾走していた。


(おお~これはうかつに前にでられないぞ~う!)

4馬身前のアルバトロスを見ていたのはカスカベアクション騎乗の野田新之助。

どんな大レースも自分色の展開に変えてしまうマジシャン。

三田崇からは【レース潰し】と揶揄されるが、このスキルでケンタッキー・ダービーやドバイデューティーフリーなどの海外国際GIを制してきた日本を代表する実力派騎手である。


(しかし今日は分が悪いぞ・・)


ハナを切ってレースを組み立てたかった野田だが、アルバトロスのスピードについて行けずにいた。


(なんとか見せ場だけは作ってやるからな・・!)


野田は鞍上でレースプランの再模索をしはじめた。


『さあ!先頭はアルバトロス!

4馬身のリードで最初の第一コーナーに差し掛かりました!』


「よし!いい仔だ!

この位置でいこう!」

安田富一はスタート直後に手綱を絞りストライクドリームを最後方まで下げた。


「ここでいい・・・。

ここから俺たちの勝負を始めよう・・・!」


前の17頭を見据えて安田がストライクドリームに呟いた。


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