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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン6 chapter3
325/364

東京優駿-3

4

『晴天に恵まれた東京競馬場!

3年前に生を受けた9000頭の中で、狭き門をくぐりこの舞台にたどり着いたのは18頭!


日本ダービーの本馬場入場です!


それでは人気順にご紹介いたしましょう!


1番人気は皐月賞2着のシューティングレイ!前日の2番人気をひっくり返して堂々の1番人気!前走の皐月賞は出遅れながらも鋭い追い込みで2着に食い込みました!鞍上の岡恭一郎がなだめながらの返し馬で入場です!


2番人気は皐月賞馬アルバトロス!圧倒的な先行力!今日も逃げるぞ!三田崇はダービー3勝目を飾れるか!?


3番人気はオメガフライト!2歳チャンプが雪辱を晴らすため府中に降り立ちました!ルドルフ、テイオー、ステージクロスと続いたクラシック・ディスタンスの血が今沸きあがります!世界の浦河美幸が栄光に向かって手綱を操ります!


4番人気クラウディハート!

前走のNHKマイルカップで見事なGI制覇!潜在能力の高さが証明されました!山形茜が強気のコメントで勝利宣言!いざ世代の頂点へ!


5番人気アドバイザアーロン!

ダービートライアル青葉賞を勝ち今日のチケットを手に入れました!鞍上は福島祐一!


6番人気はストライクドリーム!前走プリンシパルステークスでは見事な追い込み!わずか2戦のキャリアでダービーに駒を進めてきました!安田富一は悲願を叶える事ができるか!?


     ・

     ・

     ・

10番人気はフレンドシップ!

カナダからの遠征馬!鞍上はジョニー・クラフト!

     ・

     ・

     ・

     ・

15番人気にカスカベアクション!今日もあっと驚く走りに期待したい!鞍上は野田新之助!

     ・

     ・

     ・


以上18頭!フルゲートです!』



(それにしても単勝オッズの開きが凄いな・・・。)

龍田仁が、オッズが表示されたモニターを見ながら思った。


シューティングレイ 2.1倍

アルバトロス    2.3倍

オメガフライト   12.3倍

クラウディハート  14.8倍

アドバイザアーロン 25倍

ストライクドリーム 28.7倍


(くそ・・・。

我が華麗なる一族がダービーに出られないとは・・・。

この辱め・・・どうしてくれよう・・・。

この屈辱必ずはらしてくれよう!


龍田の名にかけて!)


ひとりブツブツ呟く龍田の背中に突然激痛が走る。


「痛ッーーー!!」


うずくまる龍田。何者かが龍田にぶつかってきたのだ。


「ご・・ごめんなさい!余所見をしていて・・・。」


謝る女性の声にすぐさま立ち上がり、

「貴様ぁーーー!私を龍田仁だと知っての所業かぁーー!?」

龍田が振り返り捲くし立てるような口調で怒りを露にした。


そこに立っていたのはまだ若い20代の女性であった。

「そ・・そんな・・!元はと言えばあなたが通路の真ん中でブツブツ言いながら立っているのがわるいんでしょ!」

負けずに女性も言い返す!


「なに~~!!

この小娘がぁーーーー!!!」


ゴングが鳴りしばらく罵り合いが続いた。


すると中年男性が近づいてきて叫んだ。

「ちょ・・ちょっと舞子ちゃん!?

なにしてんの!?」

舞子と呼ばれた女は一瞬で我に帰り突然泣き崩れた。


「だってこの人が・・・うわ~~~ん!」


泣き崩れた女性を抱えた男性は、龍田に何度も詫びの言葉を言いその場を去っていった。


(なんなんだあの女は!!

無礼な奴だ!

この神聖な馬主席を汚しおって!


だがあの男は見たことあるぞ。たしか名古屋の個人馬主の・・矢場って名前だったか。)


不思議そうな顔でその場に立ち尽くす龍田仁だった。


6

「美幸、今日も頼んだわよ!」

パドックから本馬場へ続く地下道でオメガフライトに乗っている美幸に調教師の岸倉幹代が声をかけた。


女性初の調教師開業となった岸倉は、厩務員時代にオメガフライトの母であるイーストフライトの担当厩務員としてGIを2勝している。


「はい!岸倉先生!」

少し力の入った美幸に岸倉は、

「はいはい深呼吸。

折り合いは心配してないから、位置取りだけ気をつけて、いつも通りに追い出しは任せるわ。


あ、あとスタート付近に純子がいるから見てみなさい。

かなり力が抜けるわよ。


じゃあよろしくね!」

と言って軽く手を挙げて美幸を見送った。


大歓声の本馬場に出た美幸はオメガフライトの返し馬を開始。

スタート付近に到着してポケットでの輪乗りに入った時、ゲート横の内ラチに堀江純子の姿を見つけた。

競馬中継のフィールドレポーターとして活躍する元騎手の堀江純子は、マイクを構えて

スタンバイしているようだった。


その姿に美幸は力が抜けるどころか大笑いしてしまった。


「美幸なにを笑ってんだ?」

アルバトロスの鞍上から三田崇が少し不機嫌な表情で言った。


日本競馬の最高峰であるダービーである。どの騎手も緊張でピリピリしている。

そんな時にヘラヘラしている姿を見せられれば三田の苛立ちは頷ける。


「だって・・・フフ・・!」

尚も笑いながら美幸は純子の方を指差した。


鋭い眼差しでその方角を見た三田は・・・

「ギャハハハハ!」

大笑いしていた。


美幸たちのいるポケットから50m離れていてもはっきりと見える純子の変な帽子。


丸い毛糸らしき真っ赤なニット棒をかぶった純子の姿はまるで大きなマッチ棒であった。


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