表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン6 chapter1
315/364

翔べ!ドリームメーカー-13

3000mの13個目の障害を越えた時、すでに先頭集団も6頭になっていた。


間もなく半分。

ドリームメーカーの勢いはまだ衰えず、前に行きたがっている。


16個目の障害を越えて2周目に入った時、レッドジャムが動いた。


先頭に立ち独走の態勢をとりはじめたのだ。

騎手のウォルフはこのレースを3勝しているエイントリーのスペシャリストだ。

仕掛け所を知っている。


村木は本能的に手綱を緩めた。

解き放たれたドリームメーカーは一気にレッドジャムに並んだ。


ここから過酷なマッチレースの幕開けとなった。


現在の生き残りは14頭。


地獄の2週目に突入した。

削除

プフプフ・・・


息が乱れ始めたドリームメーカー。

鞍上の村木も凄まじい疲労が体を襲っていた。

まだレースは半分を過ぎたところ。

世界一過酷なレースはここからが本番である。


先頭はレッドジャムとドリームメーカー。

その20馬身後方に3番手がいる展開。

もう一歩も退けない状態で、村木は必死にドリームメーカーにしがみついていた。


4000mを過ぎて難所キャナルターンと名づけられた障害に差し掛かった。

レッドジャムとほぼ同時に飛越したドリームメーカー。

飛越直後、直角に曲がるコーナーは馬の脚元に大きな負担をかける。


バランスを崩しながらも必死に食らいつくドリームメーカーに観客は大きな声援を送っている。


5000mを通過。

ザ・チェアと呼ばれる傷害。

飛越地点と着地地点の高低さが落馬を誘う。

ドリームメーカーは無事着地。

しかしレッドジャムは着地時にバランスを崩した。


村木は隣のレッドジャムを横目に見た。

口を割っている。


条件は一緒。


村木はピッタリ馬体を併せプレッシャーを与えはじめた。


残り2000m。


2頭譲らず併走を続けていた。


障害のスペシャリストであるレッドジャムも未知の距離に突入していた。

一方ドリームメーカーに距離の概念はない。


この時点ではドリームメーカーに追い風を感じていた村木。


しかし突然ドリームメーカーの馬体がよれた。


プッハーーーー!!


大きく息を吐き出したドリームメーカーは一気にペースが落ち、1馬身のリードをレッドジャムに許してしまった。


残り1000m。

この状況を見逃さなかったウォルフはレッドジャムにムチを入れ、ラストスパートを促した。

3馬身にまで広がった差は致命的である。


ドリームメーカーは明らかに限界を露呈していた。


しかし村木は最後の力を振り絞りムチを振り上げた。


残り500。


「さぁ・・・!

ドリームメーカー!

赤い伝説をみせてやろう・・・!!」


村木は渾身のムチを叩きつけた。


ウイリリリリッリ!!!!


最終障害。

レッドジャムはゆっくり確実に飛越。


続いてドリームメーカーが2馬身遅れで差し掛かる。


「飛べ!!!!!

ドリームメーカー!!!!!」


最後の力を振り絞った飛越は、一気にレッドジャムに追いつき再び並んだ。


まるで止まりそうなぐらいのスローなスピードで叩き合う2頭。


過酷なレースの終焉は熾烈を極めた。



ゴール50m前でさらに失速するレッドジャム。

ドリームメーカーは根性でかわした。


『ドリームメーカー勝利!

12歳の熟練馬が英国障害GⅢを制しました!』


赤い馬体はゴール直後、空に雄叫んだ。


ウガァーーーーーー!


そしてパタッと倒れた。


村木は号泣しながら下敷きになり気絶した。


このレースの後、ドリームメーカー陣営より英国に滞在し、調教されることが発表された。


ドリームメーカー。

12歳にして覚醒中である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ