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雷鳴-7
《ホースニュース記事より》
前代未聞の巨漢馬ドリームメーカーの入厩が完了した。激しい気性で担当の原辰巳厩務員はすでに何箇所か怪我を負っており、栗東の関係者はその巨体ぶりと暴れっぷりに驚きを隠せない。この馬を預かる武田調教師は「とにかく今のところは調教で叩きまくって矯正していくしかない」
と語っている。
俺は武田厩舎での一件以来、後悔の日々であった。
もっとましな調教師に預ければよかった…。
瑤子も俺の話を聞いて怒っている。
宝田は「まぁまぁとりあえず任せましょ」と俺達二人を子供扱いだ。
元々は低評価の2頭だ。凄まじい活躍には期待していない。ただ元気に無事ドルフィンリングとドリームメーカーにはターフを走って欲しい。そう願わずにはいれなかった。
セレクトセールも終わり、夏競馬開幕。
新馬達のデビューの季節が到来した。