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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン6 chapter1
308/364

翔べ!ドリームメーカー-7

11

3月2週【若葉ステークス】


『皐月賞トライアル若葉ステークス!

1番人気はアルバトロス!

父は現在8年連続リーディングサイヤーのディープインパクト、母エアグルーヴ!

全兄にはGI6勝ロンバルディア、遅咲きの宝塚記念馬フサイチチャンプ、半姉にはエリザベス連覇のアドバイザグルーヴ!

実績高い超良血馬が万全期してトライアルに出てまいりました。昨年の朝日杯は2着と足元を掬われた感がある惜敗。

しかし今年に入り共同通信杯でその力を示す完勝!

騎手はもちろん【天才】三田崇!

クラッシク候補の最一角がどのような走りを見せてくれるのでしょうか!


2番人気はドラゴンディール!

華麗なる一族の急先鋒が登場です!

父ドラゴンウイングは3歳時にこのレースを勝ってクラシックに駒を進めました!

国内GI2勝、香港GI3勝の華麗なる逃げ脚はドラゴンディールにも引き継がれています!前走シンザン記念では見事に勝利!【逃げの名手】中立英一がデビューから手綱を握り続けています!


      ・

      ・

      ・

以上14頭ゲート入り完了!


・・・スタートしました!』


先頭を行くドラゴンディール。


その2馬身後ろにアルバトロスが追走していた。

大きな逃げで差を持ちたかった中立は焦りを感じた。


三田崇がドラゴンディールに迫った理由はアルバトロスにとってペースが遅かった。それだけだった。

残り800mでドラゴンディールを交わし、先頭へ躍り出たアルバトロスはそのまま加速を強め、独走状態で直線に入った。


【圧倒的な孤独】

デビュー戦で見せた大差勝ちでの一人旅でつけられた彼のあだ名。


この走りは見るものを圧倒し、後ろから追ってくる者達の心を折る。


三田崇は手綱を持ったままでゴールを迎えた。


『アルバトロスが1着でゴール!

これは次元が違う!


ドラゴンディールは成す術なし!

8馬身遅れて2着でゴール!


皐月賞はこの馬で決まりか!?


皐月賞トライアル若葉ステークスはアルバトロスが制しました!』


「な・・なに~~~~!?」

馬主席で怒号を上げるドラゴンディール馬主の龍田仁。

それを横目に見る吉野春文は自信に満ち溢れている。

「まあ、龍田君には悪いけど当然の結果だね。

我が社来グループの渾身の一頭だから。

僕の社来HC所属にしてもらった以上、こんなところで負けるわけにはいかない。

あの馬はファンタジスタ以来のダービーを我がクラブにもたらしてくれる馬だよ。」


春文の言葉に龍田が静かな反論を述べた。

「ふん、まぁそれだけ大口叩くだけの馬ではあるな。

しかし、競馬はなにがあるかわからん。

飛田のところの牛がジャパンカップを逃げ勝ったように、伏兵に足元をすくわれないように気をつけることだな。」

ただの負け惜しみであった。


12

3月3週【スプリングステークス】


『皐月賞トライアル第3弾スプリングステークス!


1番人気はシューティングレイ!

父はロンバルディア、母はピンクオメガと言う豪華な血統!

昨年末のラジオNIKKEI杯2歳ステークスを制して2戦2勝。

鞍上は岡恭一郎!若き騎手がどう操るか!?

飛田牧場のエース登場!シューティングレイです!


2番人気も飛田牧場生産クラウディハート!

父は6年前のダービー馬ベルノーファソード!母は秋華賞馬シャイニングハート!

今年に入りきさらぎ賞で初重賞制覇!両親から受け継いだ強烈な末脚が武器です!

鞍上は大井所属の山形茜!

    ・  

    ・

    ・

    ・

以上16頭!』


岡はゲート前でシューティングレイを落ち着かせた。

デビュー戦とラジオNIKKEI杯の過去2戦で、気難しいところを見せていた。

そのくせエンジンのかかりが悪く自然と最後方へと下がってしまう。

対アルバトロスを想定するならば、スタートの出遅れは絶対に許されない。

慎重にゲートに入れ、集中を促した。


山形茜は対照的だった。

元々強気な性格である茜はクラウディハートに語りかけた。

「あの生意気な馬には絶対まけないわよ!」


『さあ!ゲート入り完了!


スタートしました!』

全頭一斉に飛び出し、クラウディハートは中団待機。

一番いいスタートを切ったシューティングレイはズルズル後退。いつものシンガリの位置で落ち着いた。

茜は5馬身後ろのシューティングレイを馬群に揉まれた中で警戒を強めていた。

流星の系譜を継ぐ一頭であるクラウディハート。

昨年、この馬に初めて跨った時に運命を感じた。

自分の本当の姉のように慕っていた結城美穂が愛したダンステリアの血脈。

7年前に他界した美穂を病床に見舞った時、茜は騎手過程の1年生だった。

当時、美穂の父である結城定男は飛田牧場より購入した流星の系譜シャニングハートを所有していた。

ダンステリアの孫にあたるシャイニングハートの活躍を楽しそうに語る美穂の姿に、いつか自分も流星の系譜を継ぐ馬に乗りたいと思った。

美穂の訃報を聞いたのは年末だった。

葬儀で美穂のその戦いきった清清しい寝顔に触れながら、絶対にプロの世界で成功することを涙ながらに誓った。


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