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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン4 chapter3
215/364

はじめまして!!馬主です!!-4

栗田の作った資料は素晴らしい出来だ。

理想とリスクをうまく織り混ぜながら【ひとつの事業】としての魅力を訴える内容に仕上がっている。


決戦の火曜日。


役員は緊急の招集に戸惑いの表情を浮かべている。


そして僕の口から高らかに宣言をした。

「新規事業として、競走馬事業を提案する!!」

と…!!


うちは工業機器とそれを作動させるソフトを開発製造する会社だ。

パソコンのOSウィザードで世界的に知られる企業となったが、この工業機器分野こそがわが社の本道と考える役員は多い。


その人間にいきなり競馬界参入を提案することはある意味アドベンチャーだ。


僕はひとつひとつ彼等の疑問を解決していく。

栗田の創った資料はまさにイリュージョン!!

現実と嘘の華麗なるフュージョンにより彼等はたちまち引き込まれていく。


競走馬をレースに走らせて獲る賞金での利益ではもうからない。

ただ競走馬をレースに走らせる広告宣伝としての還り利益の数字(かなり増してある)は役員たちを驚かせた。(って言うか僕が1番驚いた。)


【馬に冠名(社名からドリーム)をつける】

【馬主登録を社名ドリームソフト】

【10ヶ年計画として事業をスタートさせる】


この3つを大きな柱として【競走馬事業部】が発足される事が決定された…!!



社長である僕の直系部所であり、部長には僕直々の推薦により栗田を指名。


人員は…今のところ僕と栗田だけだ。


そりゃまだ現役の馬はいないんだから二人で充分!!



そんな事より…馬主になれる喜びが大きかった!!



「社長!!うまくいきましたね!!」

栗田が喜びはしゃいでいる。

「栗田【部長】のお陰ですよ!!」

二人で【ダービーカフェ】と言う競馬好きなマスターが経営するBarで祝杯をあげていた。

この店の【田安 剛】マスターにニュータイプの仔を購入したと告げると驚いてモエを一本開けてくれた。


今回のプレゼンで一番説得力があったのはマルコの存在が大きかった。

日本人はプレミア好きだ。ニュータイプと言う歴史的な名馬の数少ない仔である事に食い付いてきた。

話題性が抜群である!!

今年日本でデビューする2歳馬リストにニュータイプの初年度産駒の名は無い。2世代で約320頭生まれたが海外のセリ市にも数頭しか出されていない現象までおこっている。人気の沸騰しているニュータイプ産駒の生産者が手放さないのである。そして日本の生産者でニュータイプを付けられたのは飛田牧場の1頭だけ。他の日本生産者には順番が永久に回って来なかった。

これはすなわち…日本人のオーナーでニュータイプの仔を所有しているのは僕だけなのだ。


すでに飛田牧場には3億円を振り込んだ。

そして馬主の申請も済んでいる。結果待ちだが基準は満たしている。こちらも問題ないだろう。


僕の馬主人生が始まろうとしていた。


飛田社長とも電話で話し、祝福の言葉を頂いた。ビジネスパートナーとして長い付き合いになりそうである。


「そう言えば社長?

今回の新規事業に秘書をお雇いになられたそうですね?」


そうなのだ。実は瑶子さんからS&Yのスタッフを一人派遣していただく事になった。

競馬ファンとしての栗田は超一流だが、仕事としての競馬はまだまだ未開な所が多い。

やはりプロの人材をチームに入れるべきだと思い瑶子さんに相談したのだ。

現在、S&Yのロンドン事務所で働いている女性であるらしい。


社長室の隣にある倉庫を空けて競走馬事業部のオフィスとした。


栗田の狭いワンルームから、4tトラック3台分の競馬資料が運び込まれ、まさに競馬事業のオフィスに様変わりしていく。


役員会から5日後の6月2週日曜日深夜。


オフィスの整理に徹夜覚悟の僕と栗田は、一息入れてテレビの電源を入れた。


昨日契約したばかりのホースチャンネルに合わすと、イギリスダービーが始まろうとしていた。


「ファンタジックは2番人気ですね。」

栗田がテレビとパソコンを交互に見ながら現地の情報の収集を始めた。


「1番人気は…マインドブレーカーですね。

おお~インフェルノ産駒ですか!」

栗田はパソコンに向かって盛り上がっている。


インフェルノはあのマッチレースの後引退し、アイルランドのクールモアスタッドで種牡馬生活に入った。

社来グループや龍田ファームから購入の打診があったようだが、結果的にクールモアは手放さずに自牧場で供用することを決定した。


もう1頭の有力馬はすでにイギリスを代表する種牡馬となっているブレイブハートの3世代目の仔パーフェクトゲーム。

ファンタジックの父ファンタジスタとの凱旋門の因縁もあるこのレース。



「社長はどの馬が勝つと思いますか?」


栗田の問いに少し挑発的なものがあった。


よし…受けて立とう…!!


僕もパソコンを開いた。



最近栗田と競馬を見ていると決まってこの小さな争いが始まる。

僕の新しい競馬の楽しみ方だ。


僕はパソコンにファンタジックの戦績を出す。

ファンタジックはぶつけ本番で海外レースとなる…。

昨年のラジオNIKKEI杯を勝ち、年明け渡英。

クラシックトライアルに出走予定だったが、発熱で回避。


陣営からは仕上がりは万全とのコメントが出ているが、やはりアウェイの不利はあるだろう。


「やはり…マインドブレーカーですかね…」

僕は栗田に告げる。


ニヤリと笑う栗田。

「じゃあ私は…パーフェクトゲームで行きましょう。」


やはり栗田もファンタジックを外してきた。


もちろん僕も栗田も1番応援しているのは日本のファンタジックである。

ただ過去に日本生産馬ではニュータイプが勝ってはいるが、日本調教馬の勝ち馬は出ていないイギリスダービー。

やはり不安材料はある。


さぁ…どうなるか…!?


僕と栗田はテレビに集中した。


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