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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン4 chapter1
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血の宿命-4

いや…たしかインフェルノって…5年くらい前の大晦日に競馬がやっていて、珍しいなと思ってちょっと見たような…その時の馬の名前がたしかインフェルノと…うちの会社と同じ名前のドリーム…ドリームなんとかって馬だったような…。



ベル「今までたくさんレースや競走馬を見てきたが…忘れられない一頭がいる…」

ベルの話が続いているが、僕は必死に思い出していた…ドリームなんだったっけな…?


ベル「その馬は…」


あっ!!思い出した!!


僕「ドリームメーカーだっ!!」

思わず声に出してしまった…!!


しかし目の前のベルの顔が次第に崩れて最高の笑顔になっていく。


「シン…!?なぜわかった!?

なぜ私の忘れられぬ1頭がわかったのだ!?」


え?しまった…ベルの話を聞いていなかった…。



「教えてくれシン!!

私はこの事を初めて口にしたのだ!どこのメディアにも発表していない事を…どんな超能力を使ったんだい!?」

凄い勢いで食い付いてきたベル。



「ええっと…

それは…


ええっと…


あっ!!


それはドリームメーカーが日本の歴史に残る馬だからですよ!!」

僕はもう思い付きでしか喋れない。


「シン…今夜は我が家に来てくれ!!

その話を存分にしようじゃないか!!」

家に招待された…。

間違いなく今夜…僕の嘘がバレるだろう…。


ちょっと失礼とベルが席を立った。他の知り合いの元へと挨拶に行ったようだ。


僕はドッと疲れを感じた。こんなにも嘘をついたのは初めてだ。


一息入れようと僕は喫煙場所を探して競馬場内をさ迷う事にした。なかなかない…さすがアメリカだ。日本のようにあってないような分煙ではなく徹底している。


「田辺さん。」

突然日本人が僕に声をかけてきた。


「あっ…龍田さん。はじめまして。」

僕が唯一知っている日本人の競馬関係者の龍田仁氏だ。

僕の事を知ってくれているんだ!

競馬界の広告塔で、タレントのようにメディアに引っ張りダコの龍田氏に声をかけられちょっと嬉しかった。

競馬は知らないがこの人は有名だ。


「ウィザードの田辺さんとこんなところでお会いするとはびっくりです」


かなりの紳士だ。


龍田氏に喫煙場所は馬主席にあると聞き一緒に戻る事にした。


一服入れる前にお互いの名刺を交換する。


「あ、ドリームソフトっ会社名でしたか!?

ウィザードが会社名かと思っていましたよアハハ」

この人ちょっと感じ悪いかも…。


「ところでケンタッキーダービーはいつ始まるんですか?」

僕はなかなか始まらない本番にちょっとイラついていた。


「このレースの後ですよ」

龍田氏は今馬が走っているコースを指差して教えてくれた。


「うちの華麗なる一族が、風の一族を破る瞬間をお見せしましょう!」

この人…ちょっと怖いな…。


僕は龍田氏に自分が競馬をまったく知らない事と、さっきまでのベルとのヤリトリを話した。

「アハハ!大変ですね会社経営者は。

しかし競馬を知らずにあのベル・メッツと競馬談義をするなんて凄い勇気ですよ。」

龍田氏は笑っていたが、僕には笑い事ではない。


「ところでドリームメーカーとはどんな馬だったんですか?」

今夜のベル・メッツ宅訪問に備えて龍田氏から情報をもらうことにした。


「ああ…あの牛ね…」


牛!!?


「いや…牛のようにデカい馬なんですよ」


そう言えばなんとなく見ていた大晦日の競馬でインフェルノに比べてかなり大きかったのを思い出した。


龍田氏から競馬界に伝わる伝説のマッチレースの話を教えてもらった。


なるほど…凄い話だ。

脚を折りながら最後に勝ったって言うのがまた凄い。


「世界の競馬界には3人の重人がいます。

一人はドバイのモハメッド殿下。一人は欧州のジョン・マグワー氏。そしてもう一人は、あなたがさっきまで話をしていたアメリカのベル・メッツ氏です。

あのレースにはこの3人が揃っていました。

ドリームメーカーの脚の骨はコナゴナになっていて本来ならば安楽死の処分で当然だったのですが、この3人が【ひとつの命の犠牲の上に慈善は立たない】と奮起しましてね。

世界中の獣医療の粋を集めた治療により奇跡的にドリームメーカーは命を失わずにすんだのです。」


凄い…伝説と言われるだけあるな…。


僕はもうひとつ龍田氏に聞いた。

「ドリームメーカーの子供とかは走ってないんですか?」


「ドリームメーカーの子供ですか!?

アハハ!あの馬はまだ【現役】ですよ。

今年復帰するらしいですよ。」


聞けばドリームメーカーは今年で10歳らしい。馬って何歳ぐらいまで走るんだろう?


「まぁだいたい5歳から7歳ぐらいでしょうか?もちろん早ければ3歳までの馬もいますし、地方では17歳まで走った馬もいます。」


へぇ~そうなんだ。


今までまったく知らない世界の話に、僕は熱心に耳を傾けた。



「それと龍田さん、ユリノアマゾンがナンバーワンって言ったら笑われたんですが?」

さっきのユリノアマゾンの件も聞いてみた。


「アハハ!なるほど。おそらくメッツ氏はリーディングサイヤーの事を差して田辺さんがジョークを言ったと思ったんでしょうな。」


リーディングサイヤー?


龍田氏からまずリーディングサイヤーと言うのを教えてもらい、

「ユリノアマゾンの初仔はまだ昨年デビューしたばかりで、次の世代はまだデビューしていません。わずか一世代でリーディングサイヤーにはなれるわけありません。【競馬を知っている人間】ならば誰でもわかります。だからメッツ氏はジョークと思ったんですよ」


なるほどなるほど…。


「ただユリノアマゾンが同世代の種牡馬でナンバーワンであると言う解釈ならば、現時点でしたら私はそれを支持しますがね。」


龍田氏の今日走るドラゴンアマゾンは昨年の2歳のチャンピオンらしい。僕はこの2歳とか3歳という歳別で走るところがまだ理解出来ていない。


「まぁロンバルディアの持ち込み馬が皐月賞を勝ったので、種牡馬としてもレベルの高い世代ではありますが。」


また新しい馬の名前が出てきた。


「もし本当に競走馬を持たれる時は、是非ご相談ください。我が龍田ファームが誇る華麗なる一族をお譲りいたしますよ」


まぁそんな事はないと思うが、とりあえずお礼を言っておいた。


それにしても競馬の世界では、なんとかの一族ってのが流行ってるのかな?


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