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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter6
194/364

夢を信じて-9

『おっと!?インフェルノがドリームメーカーをかわした…!?


……浦河美幸がドリームメーカーの手綱を抑えている!?

故障発生か!?



これはドリームメーカー故障発生!!


しかし…ドリームメーカー止まらない!?


再びインフェルノに並びかけた!!』


「ドリームメーカー!!止まりなさい!!


ドリームメーカー!!

お願い…!!止まって…!!」


力一杯手綱を引く浦河美幸。

しかし凄まじいドリームメーカーの馬力に手綱の主導権を奪われていた。


『2頭は残り600mを通過!ドリームメーカー止まらない!!

大丈夫なのか!?

浦河騎手は手綱を引いたままですが…』


「あなた…なんで走っていられるの!?

脚が折れてるのよ!?」


『さぁインフェルノが1馬身リード!

ドリームメーカーは必死に追走!』


「ウガーーーーーッ!!」

叫ぶドリームメーカー。

その叫びは浦河美幸に向けてのものだった。そして浦河美幸はその叫びの意図をはっきり理解した。


「あなた…死んじゃうかもしれないわよ…」

「ウガーーッ!!」


浦河美幸はゴーグルの中で溢れた涙を堪えながら腹をくくった。


「わかったわ…すべての汚名を私が被ろう…すべては私の責任…



あなたに勝たせてあげる…!!」

浦河美幸は手綱を持ち直し、騎乗スタイルの体勢を整え…ムチを振り上げた。


「アカン!!完全に脚をヤってしまっとる!!」

宝田が身を乗り出し絶叫した。

早くなる俺の鼓動…。


「いや…コナンとまって…!!」

瑶子の声に涙が混じる。


「おい!?なにしてんねん!?早くドリームメーカーをとめんかっ!!」

宝田が浦河騎手に向けて叫んだ。


「美幸ちゃん!!とめてっ!!」

瑶子も声を振り絞り叫ぶ。


浦河騎手に聞こえるはずがない…そんな事はわかっている…


だけど二人は叫んでいた。



『残り400m!ドリームメーカーにムチが入った!!』



「浦河っ!!やめろっ!!」

宝田の絶叫は絶望を含んでいた。


「いやーーっ!!美幸ちゃんお願い!!もうやめて!!」

瑶子も…。


俺は涙が止まらない…

わかるんだ…あいつの意志が…


とまるはずないじゃないか…


すげぇ痛いだろう…すげぇ苦しいだろう…だけど…あいつが勝負を途中で捨てたりするわけない…


もう何年もあいつの走りを見てきたんだ…


浦河騎手は必死にとめたさ…でも止まらないあいつの意志を尊重してくれたんだ…



「黙って見てろっ!!

宝田!!瑶子!!

最後まで…最後までしっかり見届けろっ!!

これが…あいつの生きざまだっ!!」

俺の叫びに反応した二人。


宝田だって…瑶子だって…本当は気づいているんだ…。

ドリームメーカーが

【脚が折れたぐらい】

で自分の夢を諦めない事を…。



俺はターフのドリームメーカーに叫んだ。

「ドリームメーカーがんばれ!!

絶対に勝つんだ!!」



「…コナン…コナン…


コナンがんばって…!!」


「うっ…

このあほんだら…


ドリームメーカー!!


うう…


がんばらんかワレっ!!」


すでにレースは終わった…


キャサリン・エバンスはそう思っていた。


脚の折れているドリームメーカーをその目で確認している。

後ただ…ゴールまで走るだけでいい。


しかしキャサリンは背後に殺気を感じた。

背中を鋭利な刃物で突き刺されるような視線。


キャサリンは振り向いた。


怒濤の勢いで迫る赤い馬体。



!?


なぜ!?なぜあの脚で走っていられるの!?



キャサリンには今の現状が把握できなかった。


しかし唯一理解できた事がある…

それはこのままでは負けると言う現実…。


キャサリンはムチを振り下ろした。




赤い戦慄は折れた脚で必死に追っていた。


浦河美幸の【涙の決意】とドリームメーカーの【決死の覚悟】。



【芯】を失った筋肉の鎧は【信念】のオーラに包まれ、【奇跡の脚】となり栄光の先にある【破滅の道】へと爆進していった…。


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