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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter6
193/364

夢を信じて-8

現地時間1月1日

AM0:00


新年を知らせる時報と共にゲートが開き運命のスタートを切った。


『さぁ揃ったスタート!!

内インフェルノ!

外ドリームメーカー!

ぴったり馬体を併せて初めの1ハロンを通過!!

まだまだお互い探り合いかキャサリン・エバンスと浦河美幸!!』


インフェルノの鞍上キャサリン・エバンスは1ヶ月前から愛国入りしてインフェルノと調整をしてきた。

チャリティーレースのお祭り的な雰囲気は、あくまで【世間用】であり、勝負は別だ。

勝ってインフェルノの強さを証明する事がキャサリンの仕事である。


初めてインフェルノの背に股がった1ヶ月前。キャサリンは背筋が凍った。インフェルノを管理するジェームズ・マッケラ師から聞いた【帝王体質】。背に乗る騎手でさえも圧倒するオーラ。

そして手綱から伝わる支配力。

騎手にある武器はムチのみ。すべてが規格外の馬であった。



キャサリンは隣を走るドリームメーカーを見た。

凄まじい闘志で併走する巨漢馬に恐れや迷いはない。


(あなたも規格外ね…!!)



『2頭ピッタリ併せたまま2ハロンを通過!!』


「よし!今日は折り合ってる!!いつものドリームメーカーや!!」

宝田が叫ぶ。


「コナンがんばって!!」

瑶子の声援が飛ぶ。


いいぞ…ドリームメーカー…!!その調子だ…!!



「でもコナンちゃん、いつもに増して必死ね~」

相羽ゆり呟いた。



あいつはいつだって一生懸命だ!!いつだって必死に走る!!



「2000mの直線レースか…見ていて爽快だな。」

吉田善吉会長が俺と宝田の間に入ってきた。


「ええ会長。日本でも直線レースが増えたらもっとおもろくなりますよ」

宝田が答えた。



「騎手の技量が大いに試されるな。」

吉田会長の目線の遥か先、3ハロンを通過した2頭がこちらめがけて走ってくる。


「浦河騎手はいいジョッキーに成長しましたね。」

照文さんも俺の背後から話に加わってきた。


「フン!うちの馬には女は乗せん!」

龍田おまえは帰ってよし。



「さぁそろそろ中盤戦だ!」

克己さんの指指す2頭は4ハロンを通過した。



「どうしたの!?」

浦河美幸は突然ペースを上げたドリームメーカーに驚いた。


『さぁ4ハロンを通過!

ここで早くもドリームメーカーが仕掛けた!

頭ひとつ出る展開!


しかしインフェルノも再び併せる!


一気にここで2頭のペースが上がった!』


「まだ半分あるのよ!?

早いわドリームメーカー!!」

しかし浦河美幸は手綱を抑えない。

かかって加速した訳ではないのだ。


(なにを考えてるの…?)

浦河美幸は必死にドリームメーカーの意図を手綱から読み取る作業をしていた。


『さぁ5ハロン通過!!

レースは残り半分1000m!』


この時…ドリームメーカーだけが…わかっていたのだ…。


『さぁ!!

これは凄いレースになってきたぞ!!

先に仕掛けたドリームメーカー!

すぐさまインフェルノも着いてきた!!


間もなく残り800!


2頭のスピードはすでにマックス状態だ!!』


「わかったわドリームメーカー!!ロングスパートで突き離すわよ!!」

浦河美幸はドリームメーカーのロングスパートの意図を読みとった


はずであった。



『さぁ6ハロン通過!残り800m!!』


浦河美幸のムチがドリームメーカーに入る。


一気に加速したドリームメーカーはインフェルノより1馬身前に出た。


『さぁドリームメーカー前に出たぞ!!

インフェルノも必死に着いていく!!』


4ハロン付近からのドリームメーカーの【揺さぶり】に先に追い出したかったインフェルノとキャサリンは困惑していた。

キャサリンが勝負を仕掛けるはずだったポイントは、まさにドリームメーカーが先に仕掛けた1000m付近だったのだ。



しかし…ドリームメーカーは【ロングスパート】の意思を浦河美幸に伝えたわけではなかった。自分だけが悟っていたのだ。自分の体の異変を…。


「さぁ!ドリームメーカー!先手は取ったわ!」

浦河美幸の二発目のムチが打たれた。



ガクンッ!!



突然、ドリームメーカーはバランスを崩した。しかしそれは一瞬の出来事ですぐに再び豪脚を取り戻して爆進している。


だが…浦河美幸の顔が見る見る青ざめていく。

この感触…この感覚…


「Miyuki!!Stop your horse!!」

キャサリンが浦河美幸に叫ぶ。


「Miyuki!!Stop your horse!!

Your horse is…the leg is broken…!!」

(美幸!!馬をとめなさい!!

あなたの馬…脚が折れてるわ…!!)


「Miyuki!!Stop your horse!!

Your horse is…the leg is broken…!!」


キャサリンの言葉に浦河美幸は我に還った。


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