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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter6
191/364

夢を信じて-6

12月31日

現地時間PM23:00



さ…寒っ!!


洒落にならんぐらい冷え込んできた。


まだ馬主関係者席は風よけがあるが、観客スタンドはふきっさらしだ。俺は観客スタンドを覗き見た。


なるほど…あれだけの大観衆が集まれば熱気をおびた人間が風よけになっている。


人員規制をひかれたとは言え世界各地から15万人の人間が集まっているんだ。ホテルをとれなかった人間は、この寒空の下キャンプを張るらしい。


凄い話だ…そして凄く寒い…。




パーティーから到着した瑶子をはじめとする日本競馬関係者も合流した。


VIP席にドバイのモハメッド殿下とベル・メッツ、そして主催者クールモア総帥ジョン・マグワーが到着し観客スタンドに手を振っている。



突然俺の前にデカい外人が現れて話かけてきた。


英語わかんね~し…。


瑶子が通訳してくれて、どうやらこの外人はジョン・マグワーの使いで、

「2頭のオーナー同士でマスコミに、笑顔で握手の写真を撮らせたい」

らしい。


VIP席をチラ見するとジョン・マグワーがこちらに手を振っている。



戦いの前にヘラヘラしやがって…!!


シカトしていたら瑶子に引きずられながら無理矢理連れて行かれた。その時瑶子が俺の耳元で小さく

「日本人はお金だけだして何もアクションしないって世界中で思われているの。ちょっとは大人になって一緒に写真ぐらい撮ってきなさい!!」

だって…。



「Hay!MrTOBITA!!」

陽気に話かけるジョン・マグワー。


だからヘラヘラするな!!


一世に浴びるフラッシュの嵐。


俺はジョン・マグワーとベル・メッツ、モハメッド殿下との4ショットに顔をひきつらせた。



決戦まであと1時間…。


12月31日

現地時間PM23:30



すでに日本への中継が始まったらしく数m横にある日本のテレビ局の放送席から杉山アナの声が聞こえてきた。


ターフに先に入ってきたのはインフェルノ。

厩務員に引かれてゴール地点で周回を始めた。まさに俺たちのすぐ目下で。

おそらくパドック代わりの演出だろう。



宝田が口を開く。

「ファーストコンタクトがまずは鍵です…!!」


続いて原に引かれて登場したドリームメーカー。この後にインフェルノを見た時のヤツのアクションが重要だと宝田は言いたいのだ。


ドリームメーカーもゴール地点に着き、まるで時計の3時と9時の位置で周回を始めた。


「!!…よし!!解き放たれた!!」

宝田が叫ぶ。


イレ込む様子もなく、いつものように気合いタップリのドリームメーカー。

インフェルノのマジックは宝田の仮説通りに効力を失った。



「さぁ…これからが本当の実力勝負ね…!!」

瑶子も気合いタップリだ。



ターフに2人とジョッキーが姿を現した。


インフェルノに股がったキャサリン・エバンスと、ドリームメーカーに飛び乗る浦河美幸。


アメリカを代表するトップジョッキーと、日本と欧州で知名度を誇る大和撫子。


2人の女性ジョッキーの騎乗に観客スタンドのボルテージは最高潮だ。



そして2000m先のスタート地点へと2頭は走り出した。


「あら?今日はやけにおとなしいのね?」

浦河美幸はスタート地点へ向かう【返し馬】の鞍上でドリームメーカーに話かけた。


昨日の最終追い切りから気合いを感じつつも【素直】に指示に従うドリームメーカーに違和感を感じていたのだ。


「緊張してるの?

らしくないぞ~

もっといつものように暴れてくれないと調子が狂っちゃうわ。」


スタート地点に到着したドリームメーカー。まだ雄叫びは聞こえない。



『さぁ日本のみなさん!世紀のマッチレースが始まろうとしています!

世界一を決めるプレーオフとでもいいましょうか、インフェルノとドリームメーカーとの一騎打ち!!


昨年、

英国ダービー

エクリプスステークス

キングジョージ

を制してBHB三冠、今年は

ドバイシーマクラシック

キングジョージ

凱旋門賞

BCターフ

を完勝したインフェルノ!

父は欧州三冠ラムタラ、祖父は英国三冠ニジンスキー!

まさに王者の風格揺るぎない4歳馬!!


そして我らがドリームメーカー!!

ジャパンカップ2連覇と有馬記念優勝をひっさげて欧州に殴り込みをしてきました!

ドバイシーマクラシックでは5着、

しかしサンクルー大賞で初の海外GⅠ制覇!

続くキングジョージは3着

凱旋門賞とBCターフはいずれもインフェルノの2着!

もう負けるわけにはいかない!!

本日650㎏の真っ赤なボディー!

父ゴーゴーヘヴン!

日本中が、いや世界中が応援しているぞ!!


がんばれニッポン!!

がんばれドリームメーカー!!


レース開始の元旦まであと3分を切りました!!』


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