夢を信じて-1
《ホースニュース》
-激闘!!有馬記念-
今年を締め括る有馬記念。
主な出走予定馬は
ロンバルディア(牡5)
前走ジャパンカップを制した覇王はこれでラストランとなる。来年よりアメリカで種牡馬生活に入るロンバルディアは日本のファンの前でどんなラストパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。
ファンタジスタ(牡5)
2年前、凱旋門賞を制して伝説を築いたファンタジスタもこのレースがラストランとなる。不調も上昇傾向にあり一昨年の有馬記念の再現も期待できる。
フェニックス(牡4)
今年の勝鞍
天皇賞(春)、阪神大賞典、京都大賞典。
ピンクオメガ(牝4)
今年の勝鞍
ヴィクトリアマイル、安田記念、エリザベス女王杯
スターレジェンド(牡3)
菊花賞で念願のクラシック制覇。
ドラゴンスペシャル(牡3)
日本ダービーを制した華麗なる一族。
欧州で調整が続くドリームメーカー。原と武田師も現地で調教を行っている。
俺は有馬記念のため帰国した瑶子と共に中山競馬場へと向かったのは前日の12月4週土曜日。
村木の騎乗したデスピサロは最終の飛越を先頭で飛び越えラストスパートに入った。
すでに後続の姿はない。
村木は中山大障害のゴールをガッツポーズと共に駆け抜けた。
「村木さん…念願のGⅠ制覇ね…!」
瑶子の言葉に俺は込み上げるものを感じた。
村木もGⅠジョッキーの仲間入りだ。《障害》と言う路線を極めた正真証明のGⅠジョッキーだ。
涙のインタビューを受ける同級生の姿が誇らしく見えた。
その夜…合流するはずだった宝田から連絡があった。
結城美穂さんの容態が悪いらしい。今夜はずっと側に着いているとの事。おそらく明日の有馬も中山競馬場には来られないとも付け足した。
俺と瑶子は動揺をしたが、ただ祈る事しかできない。
いい結果は出せないかもしれない。
でも美穂さんには《最期》にファンタジスタの元気な姿を見てもらおう。
それしか俺たちにはできないから…。