夢は陽炎-5
『インフェルノだ!
インフェルノが1着!
凱旋門賞もインフェルノ!』
2年前にファンタジスタで史上最大の歓喜を味わった凱旋門賞…今そのロンシャン競馬場で俺は屈辱にまみれていた。
今日もドリームメーカーは暴れながら走り暴走の狂馬と化した。
結果はインフェルノの2着。普通なら上出来の結果だ。
しかしインフェルノに遅れる事10馬身。
いつものドリームメーカーなら勝てないレースではなかった。
レース後俺と宝田と瑤子、武田調教師となぜか相羽のババァでミーティングを開いた。
まず俺が本音を言った。
「もし…ドリームメーカーが本当にインフェルノに勝ち目がないなら…次のBCターフは辞めて日本の王道路線でいきたい…」
武田調教師も俺に同意した。
「そんな…!?ここまで来て引き下がれないわ!!」
瑤子は烈火の如く反対の姿勢を見せた。
突然宝田が俺たちの前に書類の束を無造作に置いた。
「勝てないわけでもありません…」
全員が宝田の次の言葉を待っていた。
9月に入り秋競馬がスタート。年末まで激しいレースが繰り広げられる。
プリンスオブウェールズSを1着、エクリプスSを3着、インターナショナルSを1着したステージクロスがジャパンカップの参戦を表明した。
激戦の菊花賞トライアル神戸新聞杯をスターレジェンド、セントライト記念はドラゴンスペシャルが勝ち、秋華賞トライアルのローズSではうちの牧場生産のシャイニングハートが大圧勝。
新たなドラマがまた生まれようとしていた。