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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter3
168/364

夢は陽炎-3

《ホースニュース》

-海外競馬情報-


【サンクルー大賞】

見事な勝利を納めたドリームメーカー(牡5)。同期のロンバルディアやファンタジスタが勢いを失う中、この馬だけはまだまだ発展覚醒途中だ。日本競馬を背負って次走のキングジョージで頂を目指す。

なおキングジョージでは昨年の英国ダービー馬のインフェルノ(牡4)が待ち構えている。

果たして欧州最強馬に勝てるのか?

決戦は8月1週である。


【ステージクロス快勝!】

英国サマーシリーズ【プリンスオブウェールズS(英GⅠ)】を快勝したステージクロス(牡4)。同期のフェニックスやホワイトファングが日本で活躍する中、ステージクロスも海外でがんばっている。

次走もサマーシリーズエクリプスSへ。

秋には故郷日本への遠征もあるかもしれない。



【ユリノアマゾン渡米】

帝王賞(地方GⅠ)を大差で勝ったユリノアマゾン(牡5)がアメリカへ渡った。BCクラシック(米GⅠ)に向けて現地で調整される。

BCクラシックには昨年の米三冠馬ラストハリケーン(牡4)が連覇を狙うためユリノアマゾンの前に立ちはだかる。



【名牝ファンタジア最後の仔!

ニュータイプ始動!】

半兄に凱旋門賞馬ファンタジスタ。半姉に牝馬ながらダービー2着のシャイニングハート。

父はサンデーサイレンス最強の息子ディープインパクト。


この馬が母ファンタジアを目の前で失ったのは2年前。本誌でも取り上げたショッキングな出来事だった。

あの【アムロ】と呼ばれていた仔馬が欧州で今秋デビューする。


S&Y所有。英国ベンゲル厩舎所属。


ちなみに【ニュータイプ】とは新たな直感や感性を持つ特種な人間の意味。


現地でもすでに評判となっているニュータイプ。

日本産の馬が世界のクラシックを狙う!


本誌は引き続きこのニュータイプを追い続けたいと思っている。


アムロのデビューが決まった。

10月5週だ。

日本では天皇賞(秋)が行われる日。

あれから2年半経つのか…。ファンタジアが死んだ日、ただ横で鳴いている事しかできなかったアムロがいっぱしの競走馬として欧州を駆け回る…。


「ロマンだ…」


先日引退したデーモンヒルにうちの繁殖牝馬を付けた時ふと思い出した。

たしかファンタジアが死んだ日は天皇賞春の日で、このデーモンヒルが勝ったんだった。


「これもロマンだな…」


やけに感傷に浸る俺。

もう35才だ。多少涙線も弱くなる。


あのファンタジアの死を乗りきって今があるのだ。


ちなみにファンタジアの死の原因を作った若者たちは、今は就職して東京や大阪で働いている。

しかし昨年も今年もファンタジアの命日にはみんなうちの牧場内の墓に集まって花をたむけてくれた。


みんなの胸の中にファンタジアは生きているんだ。



そのファンタジアの最後の仔ニュータイプ。

宝田が撮ったニュータイプの写真を結城美穂さんは大事に飾ってくれているそうだ。


宝田はまだ美穂さんの病気の事を知らない。連絡手段がメールらしいから美穂さんが教えないかぎり宝田は知るすべがない。


俺たちだって詳しい病状までは知らないが、間違いなく癌の類の病だろう。



ファンタジスタの復調が難しい現状、シャイニングハートとニュータイプの活躍が美穂さんを元気付ける事になると信じて俺はいつも星に祈るんだ。



夏の北海道の夜空に流れる星たちにね。


正式名称

【キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス】


イギリスのアスコット競馬場で行われる欧州のビッグタイトル。

フランスの凱旋門賞とならび世界競馬の最高峰に位置するレースだ。


距離はもちろんクラシックディスタンス。12ハロン1,5マイルは世界の頂を極める栄光の距離。


このレースに我らがドリームメーカーが挑む。


空港で瑶子と合流してアスコット競馬場近くのホテルにチェックインした。

世界中のホースマンや競馬ファンが集まるこのレース。ドバイのレース後にいち早くホテルを予約しておいたのが正解だった。

俺が到着したのはキングジョージの3日前。


実は瑶子が宝田に美穂さんの事を教えるべきだと俺に訴えてきた。


これは俺たちがでしゃばる話ではないと思い瑶子を説得したが、瑶子が口にした言葉に俺は返す言葉がみつからなった。


「美穂さん…白血病なんですって…。年内もたないかもしれないらしいわ…」

涙を目に溜め訴える瑶子。


白血病って…血液の癌だとしか知識はないが…この病気で亡くなっている芸能人とかよく聞く…。


俺も瑤子と一緒に宝田に告げる覚悟でこのイギリスに早めに来たのだ。


翌日、宝田が合流して食事をする事になった。

「インフェルノは万全の仕上がりらしいです」

宝田が言った。


瑤子が切り出すタイミングを伺っている。



「インフェルノの謎にかなり近づいていますが…動物の生態学者に依頼していましてもうすぐ答えがもらえると思います」


ああ…例のインフェルノマジックの事か…。


「あのね宝田さん…」

瑤子が静かに口を開いた。


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