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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter3
167/364

夢は陽炎-2

その夜…神戸中華街の名店

《矢沢飯店(別名チャイナロック)》

で龍田が荒れていた。


「金村慎介め~!」

怒りの矛先はホワイトファングの馬主の金村慎介のようだ。かなり酔っている。


「いつもわしの邪魔をするのは金村だ~」

と房一も言った。ってなんでフサイチもいるんだ!?


「いつもおいしいトコを持っていくのは金村さんだ~」

春文…飲みすぎだ。てかホワイトファングは社来生産だろ!?



「もう二度とうちの馬に武豊は乗せん!」

と近藤利道。あんたもなぜいる!?てか今日はアドバイザの馬は走ってないし…。あ・・フェニックスはアドバイザの嫁の馬か・・。



表彰式で笑顔の金村慎介と滝豊と吉野照文に嫉妬した負け組馬主の我々は、ロックを愛する料理人の店でグチャグチャ愚痴を言い合っていた。



正直俺は早く予約してある神戸市内のホテルに帰りたい。

ドリームメーカーのレースがもうすぐフランスより生中継されるから。


時計を気にする俺に酔った春文がからんできた。

「飛田くんがあの時、ファンタジスタの引退に反対したから…」


おっと!?俺のせいってか!?おまえだって照文さんに反対しまくっていただろ!?



「そんな事より我が華麗なる一族が1番人気で負けた事が重要だ!」


うるさいバカ龍田!


「フサイチチャンプは高かったんだ~!」


しらねえよフサイチ!


「滝豊は乗せん!」


勝手にしろよアドバイザ!



険悪な飲み会となった。


俺は今日のレースを見てファンタジスタには無事に今年一年走って無事に繁殖に上がってくれればいいと思いはじめた。



誰がなんて言おうがファンタジスタは立派なダービー馬であり凱旋門賞馬だ。

恥じる事なく北の地へ帰ってくればいい。



愚痴り合いから罵り合いに発展した飲み会を脱出してホテルについた俺は腰から砕けた…。


このホテルに《ホースチャンネル》がなかったからだ。

当たり前だ…普通のビジネスホテルにホースチャンネルなどあるわけない…。


俺はうちの牧場に電話をして、スタッフに受話器をテレビに近付けてもらいレースを聞く事となった。


『さ…ドリー…フラン…サンクルー…ガーーー』


まったく聞きとれん!!


ノイズだらけで全然わからん!!


わかったのは解説者が長部幸雄って事ぐらいだ。



『レー…がス…ートしま…た!」


どうやらレースが始まったようだ。


俺のストレスは爆発寸前だった。




一方フランスでは…


「ボン…ジューーーー!」

『フランスの競馬ファンに挨拶がわりの雄叫びを発したドリームメーカー!

サンクルー大賞GⅠ!

全馬7頭ゲートに入って…スタートしました!』


「コナンがんばれ~!」

瑶子の応援を受けてゲートを飛び出したドリームメーカー。


打倒インフェルノを胸に刻み欧州に渡った赤い巨星と原辰巳。キングジョージでの雪辱前にサンクルー大賞に挑んだのは宝田の提案だった。

まずはインフェルノのいないレースで《ある事》を確認しなければならないと宝田が強く主張したのだ。


宝田がどうしてもライバル不在のドリームメーカーで確認しなければならない事…それはインフェルノに隠された秘密。


同行してきた宝田の目は鋭くターフを見つめていた。



『ドリームメーカー、今日は2番手につけます!』


鞍上の浦河美幸は首を傾げた。前走のような取り乱したドリームメーカーではなく、いつもの《気合いタップリでレースを計る》走りをしているからだ。


ドバイでは明らかにインフェルノに対してなんらかの違和感を感じていたドリームメーカー。しかしだからと言って我を失うような馬ではない。


本来の爆進走法に戻ったドリームメーカー。先頭の馬をすぐ後ろからプレッシャーをかけながら道中進んでいった。



一方日本では…



『ドリー…2番手…まま…直線…ガーーー』


あ~全然わかんね~!


突然、解説者の長部が叫ぶ。

長『まだまだっ!』


どうした長部!?なにがまだまだなんだ!?




またまた一方フランスでは…。


『ドリームメーカー2番手のまま直線に入ります!後方から人気のシャマルティンも一気にやってきたぞ!』


宝田の《疑惑》は《確信》に変わりつつあった。

昨年の英国ダービーでインフェルノに惨敗したシャマルティン。本来後方から攻めるシャマルティンが2番人気の評価であったあのレースで暴走して大逃げ最下位。前走のドリームメーカーのように我を失っていたのだ。



インフェルノ自体も素晴らしい競走馬である事は言うまでもない。

しかしインフェルノの《マジック》こそが本当の武器であると宝田は確信していた。



常に一緒に走る2~3番手評価の馬がボロボロに崩されるインフェルノの《マジック》。この謎を解かなければドリームメーカーの勝利はない。

宝田は目を凝らし本来の走りをするシャマルティンとドリームメーカーからヒントを読みとる作業に徹していた。


『残り200でドリームメーカーが先頭に立った!

しかしシャマルティンが一気に捕まえにかかる!

ドリームメーカー粘れるか!?』

長『まだまだっ!』

『シャマルティンがドリームメーカーを交した!


…いやドリームメーカーが差し返す!


ドリームメーカーだ!

ドリームメーカーだ!


ドリームメーカーが1着!


ドリームメーカーサンクルー大賞を見事に勝利!

これは素晴らしいレースです!』


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