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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter3
166/364

夢は陽炎-1

6月4週。

宝塚記念だ。俺は阪神競馬場に来ていた。もちろんファンタジスタの応援をするために。


今夜フランスで行われるサンクルー大賞には瑶子が行っている。



春文と二人で馬主席にいると龍田がムカツク笑顔でこちらに向かってきた。


「いや~貧乏人!また会ったな!ちょっと用事を済ませていたもので遅くなってしまったよ。」


そりゃ会うだろ、昨日一緒に来たんだから。それにこいつはいつだって遅れてきやがる。

『主役は遅れてやってくる』

みたいなバカな信念があるようだ。

恐らくどっかで時間を潰してくるのだろう。


「そう言えばキミたち!先日のダービー見たかね?」


また始まった…。


「なに?見ていない?じゃあ教えてやろう!」


だから見たって何回も言っているだろ!!こいつはあのダービー以来、会うたびに自慢気に話をしやがる。俺は現場で見ていたんだから今更教わる事などなにもない。春文はもうシカトしている。


「あの華麗なる末脚!ドラゴンスペシャルこそ真のダービー馬!」


はいはい…。


「蝶のように舞い!

蜂のように刺す!

その名は…

ドラゴ~ン…スペシャル!!」


そうそう…。


「そしてあれを見てみなさい!」

龍田が指すのは宝塚記念のオッズ。



なにっ!?


これは俺と春文も驚いた。


「まさに華麗なる1番人気…その名は…


ドラゴ~ン…ウイング!!」



前走の金鯱賞を大差で逃げ切ったドラゴンウイングが1番人気となっていた。


『春のグランプリ宝塚記念!


まずはドラゴンウイング!

前日までの2番人気をひっくり返して1番人気に!

最強世代のもう一角が本格化を迎えて国内GⅠ獲りに挑みます!

昨年香港カップを勝った快速中距離馬!

華麗なる一族ドラゴンウイングと安藤勝己!


2番人気はロンバルディア!まだまだ覇権は渡せない!最強世代の筆頭として同期には負けられません!

ロンバルディアと三田崇!


3番人気フェニックス!春の天皇賞を制して勢いに乗っています!

野田新之助とのコンビで春を制覇できるか!?


4番人気ホワイトファング!

不完全燃焼だった春の天皇賞!今日こそGⅠ2勝目を!

ホワイトファングと滝豊!


5番人気ピンクオメガ!

GⅠ4勝の女王!

松永幹久とグランプリ女王へ!


6番人気はライラポイント!GⅠ常連の伏兵馬!そろそろビッグタイトルが欲しい!

横山典之とライラポイントが6歳馬の意地を魅せます!


7番人気フサイチチャンプ!

兄ロンバルディアに日経賞で勝ちました!本当の意味での兄越えはこのGⅠの舞台で!

今日は柴田政弘とのコンビです!


8番人気ファンタジスタ!

凱旋門に電撃を喰らわしたあの末脚!もう一度見せてくれ!

原田成二を背に!電撃復活ファンタジスタ!




以上18頭!阪神競馬場2200mを栄光目指して走ります!



各馬ゲートにおさまって…


体勢完了!


スタートしました!



まずはもちろんこの馬が行きます!ドラゴンウイング!

2馬身…3馬身…グングン差を拡げていきます!


続いてフサイチチャンプ!

その後ろにひとつの集団、ホワイトファングが引っ張ります!

ロンバルディアがすぐ後ろ!その外にピンクオメガ!

その後方はバラけてファンタジスタとライラポイントが追走!


さらに後ろにフェニックス!』


パドックで見たファンタジスタに今日もオーラを感じなかった。

俺と春文は固唾を飲んで見守っていた。


龍田が叫ぶ。

「行けウイング!華麗なる一族の名に賭けて!」


うるさいっ!!



馬主席にはダーリーの高橋氏の顔も見えた。

ラストハリケーンの出現によってロンバルディアの現役続行と言う苦渋の決断をする事になった高橋氏。

ダーリーにとってアメリカではビル・メッツ率いる『風の一族』、欧州ではクールモアと言うライバルに勝つ事が最優先事項のひとつである。



俺はターフを走るファンタジスタを見ていた。

ファンタジアの息子…結城美穂さんもこのレースを見てるはず…。


頼む…がんばってくれ…ファンタジスタ…。



『1000mを通過!

先頭を行くドラゴンウイングから9馬身遅れてフサイチチャンプ!

ホワイトファングとロンバルディアが追走!

ピンクオメガもすぐ後ろについています!

少し離されてライラポイント!

その後ろファンタジスタ!

フェニックスはいつもの位置!』


ドラゴンウイングの快調な逃げに沸き立つ観客スタンドと馬主席の約一名。


ファンタジスタは明らかに位置を下げていた。

ファンタジスタは長く脚を使うタイプの馬ではない。一瞬の切れ味が武器だ。

最終コーナーまでにはなるべく前にいたい。


しかし最終コーナーに差し掛かった時、ファンタジスタはまだ後方にいた。


『ドラゴンウイングが先頭で直線へ!

ホワイトファングとロンバルディア、フサイチチャンプが5馬身後ろ!

ピンクオメガの外を回ってフェニックスも一気にやってきた!


ドラゴンウイング400を通過!

2番手にホワイトファング!

ロンバルディアは少し遅れた!

フェニックスが4番手に上がり差を詰める!


残り200でドラゴンウイングまだ先頭!2馬身差までホワイトファングが詰めるが届くか!?

フェニックスとロンバルディアの3番手争い!しかしこれはもう前2頭だ!


ドラゴンウイングに安藤のムチが入る!

残り100でホワイトファングとは1馬身!

粘るドラゴンウイング!

しかしここでホワイトファングがドラゴンウイングを捕えた!


ホワイトファングが頭ひとつリード!



そのままゴーールッ!


勝ったのはホワイトファング!

ドラゴンウイング惜しくも2着!

3着にはどうやらロンバルディアか!?


このレースも4歳馬が勝ちました!』

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