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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter2
159/364

夢は夜ごとの狂奏曲-11

次のレースはドバイワールドカップ。

ユリノアマゾンが出走する。

「今日こそは負けられないわ。BCクラシックでも負けている相手だから。」

相羽のババァの鼻息は荒い。


世界最高賞金を誇るドバイワールドカップ。ユリノアマゾンは昨年も出走して負けている。

今年こそは勝ちたいがユリノアマゾンの前に立ちはだかる強敵は並の馬ではない。


俺はまたホースニュースを取りだした。


【ラストハリケーン】

ユリノアマゾン最大のライバルの名前だ。


ラストハリケーン

父エアリアル

母ヴィーナスエアー


無敗の米三冠馬エアリアルの最後にして最高傑作と言われている。


ラストハリケーンも昨年米三冠を達成し、BCクラシックも勝った豪傑。

【風の一族】と言われているこの血統を支配しているのは世界の大富豪ベル・メッツ。


アメリカ競馬界のドンであり、世界の経済界を操る大物である。



「ちょっとあれ見て…」

瑶子が指差すのはVIP席。


「真ん中の人…あれがダーリー総帥モハメッド殿下。このドバイの国王よ。


その隣…クールモアグループ総帥ジョン・マグワー。

そして二人を挟んでベル・メッツ。


あのメンツを並んで見られるなんて奇跡よ。」

瑶子はやや緊張の面持ちで言った。


俺も顔だけなら3人とも知っている。


日本じゃ揺るぎない勢力を築き上げた社来グループだって、世界に出たらあの3人の足元にも及ばない。



「ちょっと行ってくるわ!」

突然、相羽のババァがVIP席に向かって歩いて行った。



おい!?

ババァ!?

血迷ったか!?



「Hay!ジョン!

Oh~ベル!Yesモハメッド!」



世界の大物たちにハグで受け入れられる相羽のババァ…。



「叔母さんはあれでもセレブの社交会のアイドルなのよ」



さすが相羽ゆり…。


俺にとってその無尽蔵の財産のみ魅力だ。


『世界最高賞金を賭け!

ドバイワールドカップ…スタートしました!』


勢いよくスタートを切ったラストハリケーン。

ユリノアマゾンはいつものように後方からの展開。

日本ではダートレースで負けなしのユリノアマゾンが海外では1勝もできていない。俺は固唾を飲んで見ていた。


『ラストハリケーンは得意の先行策!

レースを引っ張ります!

縦長の展開でユリノアマゾンは最後方で追走します!』


ラストハリケーンに騎乗するキャサリン・エバンスは女性騎手ながらここ5年は常に米リーディングの上位に名を連ねるトップジョッキー。

ベル・メッツと専属契約をかわしてから世界中のトップレースでの活躍が目立ってきている。

女性らしからぬパワフルな騎乗法にファンも多い。

ユリノアマゾンに乗る浦河美幸は遥か前方のキャサリン・エバンスに憧れている。

しかし世界的な知名度やキャリアはキャサリンが遥かに上。浦河美幸にとって越えなければならない大きな目標でもあった。



『さぁラストハリケーンが早くも先頭に立って直線に入ります!

ユリノアマゾンもスルスルっと前に進出!

現在7番手か!?』


美幸はユリノアマゾンにムチを振り下ろした。



『ラストハリケーンが先頭で400通過!

突き放しにかかるぞ!


ユリノアマゾンが2番手に上がってきた!

その差は4馬身!』


浦河美幸は必死に追う。ユリノアマゾンらしく凄い脚だ。


しかし…まったく差が縮まらない…。


『残り200!ラストハリケーンの脚は止まらない!

ユリノアマゾン3馬身まで追い込むがこれはキツいぞ!


これが米国三冠馬の力か!?

ユリノアマゾン届かない!


ラストハリケーンが1着でゴール!

キャサリン・エバンスとラストハリケーンがドバイワールドカップの栄冠を手にしました!


ユリノアマゾンは2着!』


「負けた~!悔しいわね…とっても悔しいわ…。」

相羽のババァがハンカチを噛みながら憤慨している。


前走のBCクラシックでも同じ相手に2着と敗れているだけに悔しさも倍増だろう。


「次こそは絶対に勝つわ…」

復讐を決意する相羽のババァの姿を見て一抹の不安が俺の脳裏を霞めた。


このレースの1ヶ月後には繁殖シーズンに入る。まさかインフェルノはこのまま引退なんて事にならないだろうか…?そうなればドリームメーカーのリベンジのチャンスはもうない。


「でも叔母さん?ラストハリケーンは引退して種牡馬に上がっちゃったら次はないわね」

瑶子が相羽のババァにズバリ言った。



「大丈夫よ、瑶子ちゃんベル・メッツみたいに欲深い人間がこのまま引退させるわけないわ。BCクラシックで必ずリベンジよ」


なるほど、同じ欲深い人間同士だからわかるんだな。



さて…インフェルノはどうなるのか…。

俺はVIP席にいるジョン・マグワーをジッと見ていた。

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