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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter1
147/364

夢は1㌧より重い-5

帯広にあるばんえい競馬場は凄まじい観衆が押し寄せた。

ばんえい競馬のグランプリ【ばんえい記念】当日。セパレートされた10コースで200mの直線レース。

パドックに行くと1tを超えるばん馬たちに混じりヤツがいた。

今日のためにヤツは村木のランクルをお釈迦にして700㎏と言う馬体を手に入れた。しかし体の大きさよりムッキムキのマッスルボディーが進化した印象が強い。


それにしてもやはり周りを見ればデカいばん馬だらけ。初めてドリームメーカーが小さく見えた。

そりゃヤツはあれでも一応サラブレットだからね。



今日ドリームメーカーの騎手はベテランの栗田勝二。ばんえい競馬のカリスマ的騎手だ。

しかしこのグランプリだけは今だ勝利がない。


いつもと違う雰囲気に少しイレ込むドリームメーカー。



一番人気は昨年ばんえい記念を制して2連覇を目指すトカチハナコ(牝 10歳)。ばんえい競馬の女傑と言われている。

二番人気はヒダカタロウ。


え?ドリームメーカーはって?

だからドリームメーカーは特別出走だから馬券は売られてない!

てか「なんで一番人気じゃないの!?」って瑤子が一番怒っていたけど…。



「おう貧乏人!なかなかの盛況ぶりだな。」

龍田仁が近寄ってきた。

今やばんえい競馬のスポンサーでもある龍田ファーム。主催者側として龍田仁も来ている。

そしてドリームメーカー参戦を俺に打診してきたのもコイツだ。


「おまえの馬も本当の仲間に会えてきっと嬉しいだろう」


仲間って?ドリームメーカーはサラブレットだ!



しかし俺はこんなヤツに、高い酒と美人なコンパニオンで釣られて快諾したのだからしょうがない。

まぁ結果的に大盛況だ。よしとしよう。


ドリームメーカーは1tの重量があるソリをつながれ馬場に登場した。


…きつそうだな…。


やっとの思いでゲートに入ったって感じだ。


ゲートが開いて各馬一斉に飛び出す。

てか…ドリームメーカーもちゃんとソリを引いて飛び出した…。


あいつはいつだって一生懸命だ。調教だって本番だって、たとえ1tのソリを引かせてたってそれは変わらない。


まずひとつ目の障害に差し掛かる。

通常の競馬は《馬7:人3》とよく言うが、ばんえい競馬は騎手の技量が大きく勝敗を左右する。この騎手同士の駆け引きもばんえい競馬の醍醐味のひとつだ。

スタートからの助走を使って一気に障害を超える馬もいれば、障害前に馬を止めて力を溜める騎手もいる。


トカチハナコは一気に障害を超え、ヒダカタロウは障害前に一息入れた。

我等がドリームメーカーは一気に障害へと進出!

しかしズルズル後退。

サラブレットには超えられぬ壁が目の前に立ちはだかった。



ドリームメーカーの思わぬロケットスタートに詰め掛けた大観衆も大盛り上がりだ。

俺はある意味これでドリームメーカーの役目は終わったと思っていた。数十mでも1t引いてあれだけ疾走したのだからもう充分だろう。後は他の馬がゴールしてレースが終わってから棄権すればいい。


しかし俺の思いとは別に騎手の栗田勝二が烈火のようなムチをソリから送っている。


おい栗田!!

もういいって!!



場内からのドリームメーカーへの声援が徐々に大きくなってきた。


「ウリ…ウリャ…フギー…ブハー」

必死に坂を登ろうとするドリームメーカー。他の馬はすでにこの障害を超え第2障害へと向かっている。



相変わらず栗田のムチは続きドリームメーカーの闘志を刺激していた。


栗田!!もうやめろって!!


俺の心の叫びが届くわけなく必死にもがくドリームメーカーはまだ第1障害手前にいた。


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