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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン3 chapter1
145/364

夢は1㌧より重い-3

年明け、英国に行っていた瑤子が緊急帰国した。

俺の目の前に立った瑤子の怒りの形相からしてドリームメーカーのばんえい参戦がバレたようだ。


俺は一歩も引かない決意で瑤子と対峙した。


なぜならドリームメーカーの馬主は飛田牧場となっているから社長の俺に決定権がある。


てか瑤子なんてS&Yって会社も俺の知らないトコで勝手に作りやがった。


今日と言う今日はハッキリ言ってやるんだ。


俺が社長だ!ってね。



しかしなんでだろう…。俺の体が勝手に正座になり両手を前に揃えて頭を下げていた。


土下座ってヤツだ。



きっと体のヤツは気づいているのだ、瑤子と結婚したおかげで相羽ゆりというスポンサーを獲て今の発展があると言う事を…。



「雅樹さん…。」

静かな瑤子の声に俺はビビッて声を上擦らせた。

「ご…ごめんなさい!」

見事な土下座だ。



しかし瑤子の様子がおかしい。

「雅樹さん、なんで一言言ってくれなかったの?

こんな素晴らしい事を。」


俺の耳はとうとう腐ってしまったらしい。

瑤子がばんえい参戦を素晴らしいと言ったように聞こえたのだ。


もうこんな耳はちぎって捨ててしまおう。





ん?


確かに瑤子は素晴らしいと言った。


「え?」

顔を上げた俺に笑顔で瑤子が応えてくれた。


瑤子は静かに口を開いた。

「私も前々からばんえい競馬になんらかの支援ができないか考えていたの。

世界中でこの土地にしかない貴重な競馬なのに毎年毎年存続が危ぶまれる状況でしょ?

コナンは正真正銘の中央GⅠ3勝馬。そしてあの個性!きっとたくさんの観光客を取り込んで売り上げに繋がるわ!」


徐々にテンションが上がる瑤子。

なによりドリームメーカーが出走するのはばんえい競馬のグランプリとも言うべき【ばんえい記念】だ。一線級のばんえい馬と競う事になる。毎年2~3月に開催されるばんえい記念は賞金も700万円(変動有り)とばんえい競馬の中でもかなり高額で関係者の熱も高い。


まぁいくらドリームメーカーでも勝ちゃしないから賞金は関係ない。今回ヤツには客寄せパンダに徹してもらおう。

しかし瑤子の口からとんでもない言葉が飛び出した。

「雅樹さん!武田先生には【それ用】の調教をしてもらっているの!?」


【それ用】とは?


「もう雅樹さん!

そんな事じゃ勝てないじゃない!」


今なんと!?


「誰もただソリを引くだけのコナンは見たくないわ。みんなが見たいのは強いコナンでしょ?

絶対勝つわよ!!」


俺は瑤子の言葉に感銘した。その通りだ。ただの客寄せパンダで誤魔化せるほどばんえい競馬のファンは甘くない。

力強さが売りのばんえい競馬だ。この独特な面白味をたくさんの人に伝えなければドリームメーカーが参戦する意味はない。


まぁ勝つと言っても相手はドリームメーカーより遥かにデカいばん馬。勝てる訳がないのだが【勝つぐらいの気持ち】で挑むって事が大事なのだ。


「こうしちゃいられないわ!」

瑤子は家を飛び出しどこかに旅立った。



翌日、栗東の武田調教師から電話があり、

「おまえさんの嫁さんが昨日来て…ドリームメーカーに村木のランクル引かせて調教しているのだが…」

との報告を受けた。



瑤子は本当に勝つ気だった…。


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