翼を広げて-6
『ファンタジスタがドリームメーカーを捕えるぞ!
ロンバルディアは半馬身差から詰められない!
ユリノアマゾンも突っ込んできた!
先頭はファンタジスタとドリームメーカー!』
美幸のムチがドリームメーカーを打つ。
美幸にとって長く、また大きく成長した1年を締め括る渾身のムチ。
ステージクロスで辛く厳しい現実を作ったムチであり、ドリームメーカーとともにジャパンカップを連覇した歓喜のムチ。
このムチは美幸の財産となり、また自信にもなる。来年美幸はこのムチ一本で世界と戦う。
戦う事…それは美幸の人生そのものである。
「ドリーーームメーーーカーーーッッ!あんた最高よッッ!」
美幸のムチは再び迷いなくドリームメーカーに降り下ろされた。
「ガーーーーーーーッッ!!」
『ドリームメーカー頭ひとつ出ている!ファンタジスタもまったく引かない!
しかし…ロンバルディアが再び並びかける!
大外からユリノアマゾンも前3頭に並んだ!
4頭並んだ!4頭並んだ!
いや!ドリームメーカーが前に出たーーーーッッ!
ユリノアマゾンとロンバルディアが必死に喰らい付く!ファンタジスタは遅れた!
残り100!
ここでファンタジスタに原田のムチ!電撃の末脚炸裂ーッッ!
前3頭を一気にかわすぞ!
…いや!かわせないドリームメーカーは譲らない!
ユリノアマゾンが外から仕掛ける!
しかしまだ先頭はドリームメーカー!
ロンバルディアも必死に追う!
しかし…ドリームメーカーは渡さない!
このままドリームメーカーで決まりか!?』
ビンゴと呼ばれていた仔馬はやがてファンタジスタと名付けられ、日本ダービーの栄冠を手にし、さらに凱旋門賞を制して日本競馬の念願を達成した。
良血で産まれた時から大きな期待を受けたビンゴと同じ牧場で産まれたコナン。セリで売れ残ったヤンチャな仔馬はドリームメーカーと名付けられ前代未聞の成長を遂げる。成長が覚醒に変わった時…ドリームメーカーは良血ファンタジスタを超えた…。
ビンゴとコナン。
2頭を応援する飛田雅樹の瞳から涙がこぼれた。
『ファンタジスタが三の脚!再びドリームメーカーをかわしにかかる!
ロンバルディアも負けられない!三田の必死のムチ!
ユリノアマゾンは遅れた!
ドリームメーカーか!?
ファンタジスタか!?
ロンバルディアか!?
3頭並んでゴールッッ!
わずかに…
わずかにドリームメーカーが先頭!
2着はファンタジスタか!?
ロンバルディアは3着!
有馬記念はドリームメーカーが制しました!
あなたの夢と私の夢を乗せて…ドリームメーカー見事優勝!
赤い伝説はまだまだ終わりません!
来年もまた我々に新たな夢を見せてくれるでしょう!
ドリームメーカーと浦河美幸騎手!
まだまだ進化し続けます!
そして夢の続きは海を渡ります!』
シーズン2 完