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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン2 chapter6
140/364

翼を広げて-5

『さぁユリノアマゾンも上がっていく!』


河内の手綱はユリノアマゾンに勝負の準備を促した。

芝のGⅠ3勝はすべてマイル。中距離がベストであるユリノアマゾンだが2500mは充分勝たせる事のできる距離だ。


河内は自分のラストレースをユリノアマゾンに賭けた。

長い騎手人生の集大成として…。


『さぁ残り800!

先頭はドリームメーカー!

ロンバルディアもフサイチチャンプに並びかける勢い!

ファンタジスタも5番手!

ユリノアマゾンは中団中程まで一気に上がってきた!



先頭はドリームメーカー!

直線に入って残り400!

ロンバルディアは1馬身差で2番手!

ファンタジスタが3番手にきたッッ!

ユリノアマゾンも凄い脚で4番手に!

前4頭4歳馬同士の争いか!?』


愛弟子の走りを見ている坂田は目頭が熱くなった。

けっしてまだまだ一人前とは言えない美幸。

なにより心の脆さが1番の弱点だ。

輝くセンスも美幸の弱点がそれを邪魔していた。

しかしステージクロスの事故から立ち直った後の美幸から一切の迷いが消えたのを坂田は感じていた。

来年から世界の舞台へと挑む美幸へ坂田は確信している。


必ず美幸はやるっ!!


と。


翼を広げて旅立つ愛弟子へ…坂田の目にはもう美幸とドリームメーカーしか映っていなかった。


『残り200!

ドリームメーカーが先頭!半馬身差でロンバルディアにムチが入る!

その後ろからファンタジスタが凄い脚だ!!

ユリノアマゾンはさらに2馬身後方からもの凄い追い込み!

ドリームメーカーとロンバルディアが並んだ!

しかしドリームメーカー譲らず!

ロンバルディアはまた離された!

ファンタジスタもこれに加わる!

ユリノアマゾンも一気に差を摘めた!


最強クラシック世代の4頭だーッッ!!』



「美幸ーーッッ!がんばってッッ!」

千賀子は声が潰れる程の声援を送り続けている。

欧州行きが決まった時に美幸が千賀子にあるパンフレットを見せた。

「これよくない?」


差し出されたパンフは英語で書かれていて千賀子には読めなかった。

しかし写真でそれがチャペルのパンフレットだとわかった。

「なんて書いてるの?」

千賀子の問いに美幸は、

「私だって英語わかんないから読めないよ~


でもね…英国の田舎の方にあるチャペルなんだけど、私たちみたいな同性同士での結婚式もやってくれるんだって…。」


千賀子は美幸の気持ちを悟り抱きついて喜んだ。


主役の二人ともがウエディングドレスと言う一風変わった結婚式が来年英国ののどかなチャペルで行われる。

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