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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン2 chapter4
129/364

鬼神-9

美幸と千賀子は京都市内で食事をして帰路についていた。

実は千賀子が勤めていた病院を辞める事になったのだ。

けっして千賀子の顔や実名は報道されていない。しかし世間は人気中央騎手の同性愛手に千賀子を特定していた。それは職場でのセクハラに発展し千賀子は辞表を出す事になった。


しかしそれは美幸の中でなにかふっきれるきっかけとなった出来事で、今日は堂々と手をつないで外食しようという話になったのだ。


自分だけなんら制裁を受けていない事がたまらなく胸を痛ませた。千賀子は職場を追われ、野田新之助は自分をかばって結果的に騎乗停止の処分となった。

三田の話では野田新之助は美幸が同性愛者であると知っていたらしい。競馬学校時代に三田は美幸に告白して玉砕されたのだが、実は野田新之助との模擬レースに勝ったため告白の権利を手に入れたのだ。もし野田新之助が勝っていたら告白の権利は彼の物だった。


フラれた三田の次に行く気満々だった野田新之助に三田は真実を告げ、二人で美幸を守っていこうと決めたのだと言う。


今も変わらぬ美幸への想いが、穏和な野田新之助を暴力という最低な行為へと走らせてしまったのである。


天皇賞の翌日、春日部の野田の実家を三田と訪れた。後悔の日々であると語った野田だが、「殴ってしまった事は悪い事だけど…あの時殴っていなかったらもっと後悔していたかも…」と付け足した。


暴力は絶対にいけない事である。でも美幸も三田も野田新之助を責める事はできなかった。

「新ちゃん…ありがとう…ごめんね…」


「新之助!よくやった!俺だったら殺していた!」

再びターフで会う事を三人で誓った。


美幸と千賀子は自宅マンションの前でタクシーを降りた。

少し離れた距離に黒塗りのワゴン車が数日前から止められてある。

美幸はそれがどこかの雑誌記者で自分を張っていると察知していた。


マンションの入り口のスロープ。美幸は先を歩く千賀子の腕を掴んだ。振り向く千賀子に美幸はグッと背伸びしてキスをした。


フラッシュの光が辺りの視界を白くする。


驚く千賀子に美幸は、

「私はもう自分を隠さないわ。胸をはって生きていくから…チカと一緒にね…!」

ハニカミながら言う美幸に千賀子は大きく頷いた。


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