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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン2 chapter2
110/364

朱-2

阪神大賞典(GⅡ)

阪神競馬場 芝3000m


『みなさんお待たせしました。とうとうあの馬が三ヶ月ぶりにターフに帰ってきました。


本日堂々の1番人気

赤い爆星ドリームメーカー!

4歳となり赤い馬体は更に進化しました。見てくださいこのマッスルボディー。春の日差しはこの650㎏の赤鹿毛を朱色に染めます。

昨年のジャパンカップで見せたあの豪快な走りを今年も見せてくれるでしょう!もちろん鞍上は浦河美幸!



2番人気には昨年の春の天皇賞を制したデーモンヒル!充実の5歳を迎え、いち早く引退した同歳馬デビルカッターの夢を繋ぎます。

鞍上の原田も今年に入って現在リーディング2位と好調です!



全10頭で行われます!』


レースを観戦に来たドリームメーカーのオーナー飛田雅樹は驚いた。

「650㎏って…さらにデカくなってやがる…」


一緒に来ている菱田瑤子は嬉しそうに笑っている。

ちなみにこの二人は6月に結婚予定。

できちゃった婚だ。

これで結婚を反対していた瑤子の身内も許さざるをえなくなった。


宝田誠が欧州に旅立ったが、ダーリージャパンから一流スタッフを派遣してもらい、牧場作業は順調に進んでいた。

そして菱田瑤子の叔母である相羽ゆりが、二人の結婚の祝いにアメリカケンタッキーファームから

【ヒシアマゾン】

を倍の価格で購入し飛田牧場に空輸される予定だ。

到着早々、デビルカッターとの種付けも決まっている。



「ムーーーヴ!!!」


ドリームメーカーの今年初の雄叫びに観衆は大盛り上がりだ。


『さぁ各馬体勢完了!

長距離のスペシャリストのデーモンヒルか!?

それとも野獣ドリームメーカーか!?


スタートしました!


出遅れありません!やはり行きますドリームメーカー!

ドリームメーカーが一気にハナをとった!

続いて行くのがデーモンヒル!


人気の2頭がレースを引っ張る展開!』


美幸は弥生賞終了後に、武田調教師から自分が無意識に負ける理由を作る騎乗をしていた事を気づかされた。


迷うぐらいなら思いっきりいってやる!!


美幸の手綱から迷いが消えたのを誰よりも感じていたのは…ドリームメーカーかもしれない。


『さぁ一周目のスタンド前、ドリームメーカーが3馬身のリードで逃げます!デーモンヒルは2番手で様子を伺う!

しかしデーモンヒルの後ろは8馬身程差ができたぞ!』


長距離には絶対的な自信を持っているデーモンヒル。

着かず離れずの位置でドリームメーカーにプレッシャーをかけている。


『レースは向こう正面を走ります!

ドリームメーカーが快調に先頭を行きます!

続いてデーモンヒル!


後続は遥か後方!


レースは残り1000mの標識を通過しました!』



ドリームメーカーは背後に迫るデーモンヒルを常に感じながら走っていた。

その緊張感は美幸も読みとる事ができる程のものだった。


ガラじゃないわね。

あなたはドリームメーカーでしょ?

いつも通りに攻めていきましょう…!


『さぁ最終コーナーに差し掛かりデーモンヒルが前に詰めてきた!


ドリームメーカーとは1馬身差!


しかしドリームメーカーも引き離しにかかる!』



天皇賞(春)へ向けて2頭の戦いは直線へ。



『阪神の直線!

ドリームメーカーが先頭!

デーモンヒルが1馬身後ろを追っている!


ドリームメーカーが豪快に走るすぐ後ろにデーモンヒル!』


原田のムチがデーモンヒルに入る。


『デーモンヒルが一気に並びかける勢いだ!』


デーモンヒルの動きを見た美幸はドリームメーカーにムチを送った!


今日はあなたが主役よ!



『しかし…ここからドリームメーカーが伸びる!

ドリームメーカーがさらに2馬身突き放した!

これは強い…


これは強いぞ!


デーモンヒルは置いていかれた!!


ドリームメーカーぐんぐん伸びる!



ドリームメーカーが1着でゴール!


重賞3勝目!!



デーモンヒルを相手に堂々の勝利です!』


よしっ!


美幸は小さなガッツポーズを見せた。



ドリームメーカーの強さはすでに調教で確信していた。

ロンバルディアに勝つためにドリームメーカーは自ら厳しい坂路調教に向かっていたのだ。

ここで負けるわけにはいかない。


ドリームメーカーのロンバルディアへの執念が有り得ない程の筋肉の鎧を自らに与え、比類なき闘志が勝利への起爆となった。


次こそ本番の天皇賞よ…。ロンバルディアが待っているわ。


美幸はドリームメーカーの首筋を撫でた。



『さぁドリームメーカーがスタンド前に帰ってきます。

菱田瑤子さんがいつものように待っています。

いや~この様な姿を見ますと、先ほどまでの豪快なイメージが嘘のようです。


さぁ菱田瑤子さんに近づいてきました。



??


アーーーーっと!!!


菱田瑤子さんの隣にいる男性にいきなり嚼みついたっ!?



あれは…馬主の飛田雅樹さんです!!!』



飛田雅樹は身重の瑤子を気遣い一緒にターフに降りてきた。


右腕に嚼みついたドリームメーカーは自分の馬主に全治二週間の怪我を負わせた…。

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