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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter1
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流星-10

翌日、俺はファンタジアの仔を眺めていた。

宝田が勝手に《ビンゴ》と名付けたのには頭にきたが、あえて反論はしなかった。

しかし本当にダンステリアそっくりだ。


きっと高値で吉野社長は買ってくれるだろう。


でも心配なのは他の仔馬たちだ。毎年必ず売れ残る。でも親父の人脈で地方の馬主にさらに安くして最後には売りきってきたが、親父のいない今年からはどうなる事か…。



もし自分が馬主なら、売れ残った馬を自分名義で走らせるのだけど…。



ん?



それいいじゃん!



俺は瑤子の元に走った。



「瑤子ちゃん…ちょっと聞きたい事があるんだけど…」


相変わらず瑤子はシカト。昨日はあんなにお話ししたのに…。



「あああのさ~馬主の資格って俺でも取れるかな~?」


明らかに瑤子の表情が曇った。

俺は事情を説明した。


「売れ残った馬をねぇ…。いいわ。すぐに申請しましょう。」


ちょっと表情が和らいだ瑤子は、どっかに電話をかけはじめた。さすが元馬主秘書。彼女の専門分野である。




数日後、書類が届き、瑤子から名前だけを書くように指示された。あとの必要事項は瑤子が書くらしい。


横で瑤子が書類に記入していくのを見ていた。


なるほど…俺が馬主になるためには、名前以外はあらゆる粉飾が必要なわけね…。

少し寂しかった。


結果が出るのはしばらく先だ。


海の向こうアメリカからビッグなニュースが飛び込んできた。

『大物女性馬主、相羽氏がヒシアマゾンの仔を庭先取引で購入。』


エリザベス女王杯優勝やジャパンカップ二着などの成績で人気を獲た女傑ヒシアマゾン。

現役引退後は故郷アメリカで繁殖生活に入り、今年は伝説的種牡馬ミミスタープロフェクターの牡を生んだ。


相羽氏のコメント

『今回は2億円ほど投資させていただきました。マル外(外国産馬)ではありますがクラシックを狙っていきたいと思います。』


ユリノアマゾン

黒鹿毛 牡

父ミスタープロフェクター

母ヒシアマゾン

母父シアトリカル


凄い馬が誕生した。



日本でも今年生まれた仔馬達の話題が続々と入ってきた。


社来ファームでは、オークスや天皇賞(秋)を制した名牝【エアグルーヴ】とサンデーサイレンスの最後の大物【ディープインパクト】の牡が誕生。かなりの値がつくと予想される。

種付けシーズンが近付き社来ファーム吉野社長からファンタジアの今年の種付けは《アグネスタキオン》と連絡があった。



宝田は興奮している。

瑤子はいたって冷静だ。


午前の作業を終えて休憩していると吉野社長の三男の春文が訪ねてきた。俺とは中学まで同級生だった。

「飛田くん久しぶりだね。今年生まれたファンタジアの仔をうちのクラブの所属にする事になってね。今年の目玉になるよ。」


そうか…ビンゴは春文の持ち馬になるのか。

「あっ、そう言えば龍田君のところのドラゴンベリーがブライアンズタイムの仔を産んでかなり話題になっているね。」


どいつもこいつも景気のいい話だ。


春文はビンゴを視察し帰っていった。


もうすぐに母親と離す時期になる。その時に社来ファームに移す事になるだろう。うちには育成部門がないからね。その時とはすなわち俺とビンゴの別れでもあるのだ。

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