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倭国(日本)の歴史は、他の国々と違う【天皇の歴史】をどのように作っていくのか‥、大津の熱弁はつづく‥、

 従者を促し、宮を出た舎人は、倉橋の館に戻ろうと馬を山田道の方に向けたが

、右手の高台に為っている

、こんもりした墓が目に止まった。少し坂を上がって正面からその墓を見る。

 蘇我馬子そがのうまこ様の墓じゃな。まるで大きな舞台の上で墓が鎮座しているようじゃ。この小山の下は巨石で組んだ横穴石室を作って石棺を安直して居るらしい。かなりの労力がいったろうに。それだけの権勢を誇りながら、王には為って居なかったと聞く。くらぶれば孫の【入鹿いるか】は馬鹿なことをしたものよ。吾が叔父(

中大兄王なかのおおえのおう、天智天皇)達に抹殺されてしもうたわ。

 今、出てきた【宮(嶋の宮)】も馬子様の館だったそうだが、皇后(讃良)が

皇太子(草壁)にあてがったに違いない。何せ、皇后様の義祖父(祖母の兄)だからな馬子様は。皇太子を馬子様のような方に為って欲しかったのだろう。

 そごまでは皇后讃良‥は考えてはいなかっただろうが、愛児の葬礼へのこのような仕打ちに対して、舎人は想像もつかない空恐ろしさと、むなしさを感じた。

 あの大津皇子様の事件はなんだつたんだろう。草壁皇子を守る為てはなかったか。

病弱で用を足さなければ、見捨てる、と言う事か。例え愛する子であつても。

【天皇家】とは何なのだ[

まだ帝と併用]。

 舎人は、遠くを見つめるように、大津皇子の【朝政列席中止】の勅令を発した日のことを思い浮かべた。

 その日は、甘樫丘あまがしがおかで大津皇子が

召集した。【帝紀記定ていききじよう】についての説明会であった。

「【天皇】とは【天意】を伺う。つまり、天の意を受けて、諸々の全てを統括支配することなのだ。祭儀を行ったり、政(まつりごと

、政治)を支配することだけを意味するのてはない。

唐国(現中国)のように【

礼】を逸すれば、皇帝と謂えども反旗をひるがえされ、帝位を覆されても、良しやと万民は納得する。

我国は、これから先、そういう国であっては為らない

。【天皇】は世で作る決まり事に左右されない、天の使いなのだ。天皇は百万神千万神よろずちよろずのかみのもとから降りられた現人神あらひとがみ

なのだ。いにしえから、数々の戦いで王位が覆されたが、古からの教えを受けて、これより、一系にして国を治める【天皇】でなければならない。

川嶋皇子(かわしまのみこ

)様、兄様が【帝紀】の作成に選ばれたのはその為なのですぞ。各々(それぞれ

)の豪族達の氏上を説得して、その氏族の古からの言い伝え、系図を引っ張り出させて欲しいのです」

 川嶋皇子はこっくり頷いた。

何だ、帝(天武)が吾を筆頭に勅したのは一番年長だと謂うだけでなく、先帝(

天智の息子)の威を借りてのことか。吾が一番、豪族との顔見知りを利用してのことなのだ。

それにしても、今日の大津の素振りは変だ。初手より余りに声がたかぶり過ぎている。近江宮(おおみのみや、大津市)に居る時から

、大津はその才を先帝(天智天皇)に見込まれ、吾なんぞ先帝の目には入らなんだ。それは、吾にしても五歳も年長なのに不満だったが、なにせ、大津は皇女(

ひめみこ、天智の娘)太田姫(天武の妻)の皇子みこゆえやむ得ないとは思っていた。それでもだ、大津は吾にとっては甥だ‥と

おもいつつも

やはり、今日の大津は変だ。

 川嶋にとっては、いつもの大津でないのが気掛かりに為ってきた。

 大津の熱弁はつづいた

「各豪族は、古のいつぞやの頃には天下を取ったという自負がある。今、我らの帝(天武)がすこしでも弱気に走ると、何時でもひっくり返される恐れが有るのじゃ。大海人(帝)王家も、又、近江の帝(天智 )も一系で、【天意】は我に有り、ということで各氏族を統括せねばならない。

父の帝は今、やまいに伏して居られるが、吾に、そういうことを皆に伝えて欲しいとのことであった」

 大津皇子は一息いれた

 


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